📣 放課後等デイサービスは 2027年4月 開所予定です(現在、指定申請の準備を進めています)
お問い合わせ・見学予約
🌱 のびのび発達ラボ|こどもの発達と学びの情報室(記事一覧へ
ホームのびのび発達ラボ > 📖 用語・基礎知識 > こども基本法とは——子どもの意見を聴くことが、法律の義務になりました
📖 用語・基礎知識

こども基本法とは——子どもの意見を聴くことが、法律の義務になりました

最終更新:2026年9月8日
個別支援計画の書類に「本人の意向」という欄があった。就学相談で、子ども自身の気持ちを聞かれた。——そうした場面の後ろには、2023年4月に施行されたこども基本法という法律があります。
この法律の第3条は、こども施策の基本理念として六つの号を定めており、そのひとつに「その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること」という一文があります。「意見を聴く」ことが、努力目標ではなく法律の条文になったということです。
この記事では、こども基本法の条文そのものと、土台にある子どもの権利条約 第12条、そして児童発達支援ガイドラインが個別支援計画づくりについてどう書いているかを、官公庁が公開している原文で確かめます。医学的な判断や、就学相談・個別支援計画そのものの手続きには踏み込みません。

こども基本法とは——2023年4月に施行された、新しい法律です

2022年6月に成立し、2023年4月1日に施行された「こども基本法」(令和4年法律第77号)は、こども施策の基本理念を定める法律です。同じ日にこども家庭庁が発足し、この法律とセットで動き始めました。

第1条(目的)は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、心身の状況や置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指す、と定めています。

第2条(定義)——「こども」は年齢で区切られていません
こども基本法は、次のように定めています。
「この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう。」
18歳、20歳といった年齢の線を引かず、成長の途上にある状態で「こども」を定義しています。

一方、児童福祉法は「児童」を満18歳に満たない者(乳児・幼児・少年に区分)と、年齢で区切って定義しています(同法第4条)。こども基本法は理念を定める法律、児童福祉法は具体的な制度を定める法律、という役割の違いが、この定義の違いにも表れています。(両者の関係は、このあと改めて確かめます)

第3条に、六つの基本理念が書かれています

こども基本法 第3条は、「こども施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない」として、六つの号を定めています。条文をそのまま並べます。

条文(原文のまま)
全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。
全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。
全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。
全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること
こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、家庭での養育が困難なこどもにはできる限り家庭と同様の養育環境を確保すること。
家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること。
三号と四号は、分けて読むと分かりやすくなります
三号=意見を言える機会を確保すること。
四号=言った意見が尊重され、最善の利益として考慮されること。
「聴く機会があること」と「聴いた意見をどう扱うか」を、法律は別の号に分けて書いています。

「意見が尊重される」は、「意見の通りにする」ではありません

四号の「その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮される」という一文を、こども家庭庁の「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)は、次のように解説しています。

児童発達支援ガイドラインの説明(原文)
「最善の利益が優先して考慮」されるとは、「こどもにとって最も善いことは何か」を考慮することをいい、こどもの意見がその年齢及び発達の程度に応じて尊重すべきものと認められる場合であっても、別の考慮要素と比較衡量して合理的に判断した結果、こどもにとって最善とは言い難いと認められる場合には、こどもの意見とは異なる結論が導かれることはあり得るものである。その際は、こどもに対し、適切に説明することが必要である。

つまり、意見を聴いたうえで、それとは違う方針になることはあり得ます。ただしガイドラインは、その場合に子どもへ説明することを求めています。「聴いたのに、なぜそうなったか分からない」という状態を残さないための仕組みが、この説明の部分です。

児童福祉法にも、同じ理念がすでに書かれていました

こども基本法だけの理念ではありません。児童福祉法(昭和22年法律第164号)は、次のように定めています。

児童福祉法 第1条
全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。
児童福祉法 第2条
全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。

言い回しは、こども基本法 第3条四号とほぼ重なります。どちらも「意見が尊重され」「最善の利益が優先して考慮される」という言葉を使っています。児童発達支援ガイドラインも、この二つの法律を並べて、こどもが「自立した個人として自己を確立していく主体」として尊重されるべきだと説明しています。

児童福祉法 第2条のこの文言が、いつの改正で現在の形になったのか——立法の経緯そのものは、今回確認した一次資料の範囲では特定できませんでした。

土台にあるのは、子どもの権利条約 第12条です

こども基本法 第1条は、「日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり」と明記しています。こども基本法は、この条約を土台にした法律だということです。

児童の権利に関する条約(通称・子どもの権利条約)は、1989年11月20日に国連総会で採択されました。こども家庭庁の公式ページによると、日本は1990年9月21日に署名し、1994年4月22日に批准、同年5月22日に効力が発生しています。2025年3月時点の締約国は196の国・地域です。

条約 第12条(意見表明権・原文)
1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

「自己の意見を形成する能力のある児童」という言い方に注目してください。年齢で区切らず、意見を形成できるかどうかを基準にしている点は、こども基本法が「こども」を年齢で区切らずに定義していることと重なります。

児童発達支援の個別支援計画づくりでは、こう現れます

この理念は、児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)の中で、個別支援計画(児童発達支援計画)づくりの具体的な手順として書かれています。

ガイドラインの記述(原文)
児童発達支援計画の作成に当たっては、将来に対する見通しを持った上で、障害種別や障害の特性、こどもの発達の段階を丁寧に把握し、それらに応じた関わり方を考えていくとともに、こどもや保護者の意思の尊重、こどもの最善の利益の優先考慮の観点を踏まえて作成することが必要である。

会議の運び方についても、次のように書かれています。

ガイドラインの「権利擁護」の章では、こどもの権利条約・障害者権利条約・こども基本法・児童福祉法を挙げたうえで、「障害のあるこどもが、自由に自己の意見を表明する権利及びこの権利を実現するための支援を提供される権利を有することを認識することが重要である」とも書かれています。

言葉でまだ話せない年齢のこどもについて、ガイドラインは、コミュニケーションの支援として「言葉によるコミュニケーションだけでなく、表情や身振り、各種の機器等を用いて意思のやりとりが行えるようにする」支援を挙げています。

個別支援計画の書類そのものの欄の見方や、納得できないときの申し出先については、別記事「個別支援計画は、どこを見ればよいのか」で扱っています。

こども大綱にも、同じ理念が貫かれています

こども基本法 第9条は、政府に「こども大綱」を定めることを義務づけています。この大綱は、2023年(令和5年)12月22日に閣議決定されました。こども基本法に基づく、初めての大綱です。

こども家庭庁は、大綱の基本的な方針の第一に「こども・若者は権利の主体であり、今とこれからの最善の利益を図ること」を掲げています。大綱そのものを作る過程でも、対面・オンライン・チャット・パブリックコメント・アンケート・ヒアリング、児童館や児童養護施設への訪問など、様々な方法でこども・若者の意見を聴いたと、こども家庭庁は公表しています。

就学相談の場面でも、保護者だけでなく本人の意見を聴く場面があります。判定の仕組みそのものについては、別記事「就学相談の「判定」——誰が、何をもとに、どう決めるのか」で扱っています。

今夜・今週、園や事業所に聞いてよいこと

こども基本法や児童発達支援ガイドラインは、保護者に何かを求めている法律ではありません。むしろ、事業所や園の側に、こどもの意見を聴く手立てを求めています。次のようなことは、遠慮なく尋ねてよいことです。

聞き方の一例
「うちの子の意見は、計画のどの場面で聴いてもらえますか」——この一言は、書類の内容そのものを問うより、答えやすい聞き方です。

この記事で書かないこと

出典

※上記の出典は2026年9月8日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

こども基本法の「こども」とは、何歳までを指しますか?
こども基本法 第2条は、「こども」を「心身の発達の過程にある者」と定義しており、18歳や20歳といった年齢の線引きはありません。一方、児童福祉法は「児童」を満18歳に満たない者(第4条)、児童の権利に関する条約は「児童」を18歳未満(第1条)と、それぞれ年齢で定義しています。法律によって定義の仕方が違う、という点は覚えておくとよい点です。
「意見が尊重される」とは、子どもの言うとおりにするという意味ですか?
いいえ。こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、こどもの意見と最善の利益を比較した結果、こどもの意見とは異なる結論になることもあり得ると説明しています。ただしその場合、こどもに対して適切に説明することが必要だとされています。「聴くこと」と「その通りにすること」は別に書かれています。
個別支援計画の会議に、子ども本人が参加することはできますか?
児童発達支援ガイドラインは、個別支援会議の例として「会議の場にこどもと保護者を参加させること」や「会議の開催前にこども本人や保護者に直接会って意見を聴くこと」を挙げています。参加や聴き方の具体的な形は事業所によって異なるため、「うちの子の意見はどの場面で聴いてもらえますか」と、見学や相談の際に尋ねてよいことです。
こども基本法と児童福祉法は、どう役割が違うのですか?
こども基本法は、こども施策全体の基本理念や国・地方公共団体の責務を定める法律です。児童福祉法は、児童発達支援や個別支援計画など、具体的な制度・手続きを定める法律です。「意見が尊重され、最善の利益が優先して考慮される」という理念は、両方の法律にほぼ同じ言い回しで書かれています。
まだ言葉で話せない年齢の子どもの「意見」は、どう聴かれるのですか?
子どもの権利条約 第12条は「自己の意見を形成する能力のある児童」という言い方をしており、年齢での線引きはしていません。児童発達支援ガイドラインも、コミュニケーションの支援として「言葉によるコミュニケーションだけでなく、表情や身振り、各種の機器等を用いて意思のやりとりが行えるようにする」支援を挙げています。
こども基本法に違反すると、罰則はありますか?
こども基本法の条文(第1条〜第20条、附則)を確認した範囲では、罰則の定めは見当たりませんでした。国や地方公共団体の責務や、こども施策の進め方を定める性格の法律です。
子どもの権利条約とこども基本法は、同じ内容ですか?
同じではありませんが、こども基本法 第1条は「児童の権利に関する条約の精神にのっとり」と明記しており、条約を土台にした法律です。条約は1989年に国連総会で採択され、日本は1994年に批准した国際条約、こども基本法は2023年に施行された日本の国内法という違いがあります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか

のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。