健診では、ことばや行動と同じ日に、身長と体重も測っています
乳幼児健診で気になるのは、たいてい、ことばや行動について言われた一言のほうです。けれど健診の用紙をよく見ると、いちばん上に置かれているのは身体測定の欄です。これは会場の都合ではなく、法令でそう決まっているからです。
母子保健法施行規則 第2条(健康診査)
1歳6か月児健診で行う項目は、条文に11個列挙されています。その一号が「身体発育状況」、二号が「栄養状態」です。3歳児健診は13個で、やはり一号・二号は同じ二つから始まります。
つまり、身長と体重を測ることは、健診の付随作業ではなく、全員に対して確かめると条文に書かれている、最初の二項目です。
この条文の上位にあるのが母子保健法 第12条で、市町村は1歳6か月児と3歳児に対して健康診査を「行わなければならない」と定めています。さらに第13条は、この二つ以外にも「必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない」としています。3〜4か月児健診や5歳児健診が自治体ごとに置かれているのは、この第13条の側です。
健診票の身体測定欄には、何を書く欄があるのか
こども家庭庁が示している健康診査票の様式には、年齢ごとに次の欄が並んでいます。実物の様式に印刷されている項目だけを挙げます。
| 健診 | 身体測定の欄に印刷されている項目 |
| 3〜4か月児 | 身長 / 体重 / 頭囲 / カウプ指数 体重はグラム、身長・頭囲はセンチの単位で刷られています |
| 1歳6か月児 | 身長 / 体重 / 頭囲 この年齢から体重の単位がキログラムになります |
| 3歳児 | 身長 / 体重 頭囲の欄はなく、代わりに検尿・眼科所見・耳鼻咽喉科所見の欄が加わります |
そして、どの年齢の健診票にも、診察所見のいちばん最初の項目として「1 身体的発育異常」という選択肢が置かれています。身長・体重は、測って記録して終わりではなく、医師が所見を付ける対象として設計されています。
東京23区の案内でも、身体計測は必ず書かれています
実際の区の案内を二つ開いてみます。書かれ方は区によってかなり違いますが、計測がどこかに必ず入っていることは共通しています。
- 新宿区——3〜4か月児健診「問診、計測、診察、個別相談」、6〜7か月児健診「計測、診察」、9〜10か月児健診「計測、診察」、1歳6か月児健診「計測、診察」、3歳児健診「問診、計測、目の屈折検査、尿検査、診察、歯科健診……」、5歳児健診「集団遊び、問診、計測、診察、個別相談」。すべての回に「計測」が入っています
- 練馬区——1歳6か月児健診は二つに分かれ、区内契約医療機関で受ける内科健診が「内科健診、身体計測、診察、保健指導」、保健相談所で受ける歯科健診が「歯科健診、歯みがき相談、育児相談、栄養相談、発達相談」。内科のほうに身体計測が置かれ、栄養の相談は別の場に用意されています
※ 区によって、内科と歯科を別々の日・別々の場所で受ける形になっていることがあります。身体計測がどちらに入っているかも区で違うので、お手元の案内の「健診の内容」の欄をご確認ください。
母子健康手帳のあの曲線は、何をもとに引かれた線なのか
母子健康手帳を開くと、体重と身長のグラフが男の子用・女の子用に分かれて印刷されています。この曲線には、はっきりした出どころがあります。
乳幼児身体発育調査(10年に一度の全国調査)
厚生労働省が公表している調査の概要には、目的がこう書かれています。「全国的に乳幼児の身体発育の状態を調査し、我が国の乳幼児の身体発育値及び発育曲線を明らかにして、乳幼児保健指導の改善に資することを目的とする」。
調査の時期の欄には、ひとことだけ「10年周期」と書かれています。実際に、昭和35年・昭和45年・昭和55年・平成2年・平成12年・平成22年・令和5年と、およそ10年ごとに調べ直されてきました。
つまりあの曲線は、誰かが決めた理想の伸び方ではありません。その時代に日本で暮らしている乳幼児を、実際に数千人測った結果を、なめらかな線につなぎ直したものです。
いちばん新しい調査は令和5年に行われました
こども家庭庁が公表している令和5年乳幼児身体発育調査の内容は、次のとおりです。
| 項目 | 令和5年乳幼児身体発育調査で公表されている内容 |
| いつ測ったか | 一般調査は令和5年9月1日から30日までのうち、市区町村長または保健所長が定めた日。病院調査も同じ9月中で、病院で1か月健診が行われる日 |
| 誰が測ったか | 市区町村または保健所が選定した調査員(医師、保健師等)が、計測・問診、あるいは母子健康手帳からの転記や付添人からの聴取によって、調査票をすべて記入した |
| 何人分か | 一般調査票=調査客体11,190人のうち集計6,892人。病院調査票=150病院を抽出し、集計4,302人 合わせておよそ1万1千人分の実測値から引かれた線です |
| いつ出たか | 令和6年12月25日 公表 |
| 手帳への反映 | こども家庭庁が示す母子健康手帳の府令様式のうち、令和8年4月1日施行のものには、「乳児身体発育曲線(令和5年調査)」「幼児身体発育曲線(令和5年調査)」と刷られ、ページの下に「(出典)こども家庭庁令和5年乳幼児身体発育調査報告」と書かれています |
ここで一つ、気を楽にしていただける事実があります。令和5年調査の結果の概要は、体重・身長・頭囲の平均値について、前回の平成22年調査と比べて「大きな変化はない」と明記しています。10年たっても、日本の乳幼児の体格そのものは大きくは動いていません。
ものさしの側も、10年ごとに引き直されています
こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」は、この曲線について「乳幼児身体発育曲線、幼児身長体重曲線は、子どもの体格の現況を反映するため、10年に1度改訂されています」と説明しています。つまり、線は固定された正解ではなく、今の子どもたちの姿に合わせて描き直されるものです。
実際、令和5年調査では、運動や言語の通過率のほうにも動きが出ています。一人歩きができると回答した割合が90パーセントを超えるのは、平成22年調査では生後1年3〜4か月未満でしたが、令和5年調査では生後1年4〜5か月未満でした。一語以上の言葉を話すと回答した割合が90パーセントを超えるのは、どちらの調査でも生後1年6〜7か月未満です。ものさしの目盛りそのものが、10年でこのくらいは動きます。
母子健康手帳に曲線が載っている根拠
母子保健法 第16条——市町村は妊娠の届出をした者に母子健康手帳を交付しなければならない。そして第3項で「母子健康手帳の様式は、内閣府令で定める」としています。
その内閣府令が母子保健法施行規則 第7条で、様式第三号またはこども家庭庁長官が定めるものによる、と定めています。発育曲線のページは、この様式の一部です。全国どこで交付された手帳にも同じ曲線が入っているのは、そのためです。
※ こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」は令和5年4月時点のもので、本文では「現在の母子健康手帳には、平成22年の乳幼児身体発育調査の結果をもとに作成された曲線が掲載されています」と書かれています。お手元の手帳がいつ交付されたものかによって、印刷されている曲線が平成22年調査のものか令和5年調査のものかが変わります。グラフの見出しに調査年が刷られているので、そこで確かめられます。
帯(パーセンタイル)が意味していること
グラフには、細い線が何本も引かれ、その真ん中あたりが帯のように塗られています。この線の一本一本には、はっきりした意味があります。定義は、調査の報告書の「用語の解説」にそのまま書かれています。
パーセンタイルの定義(令和5年乳幼児身体発育調査 用語の解説)
「パーセンタイルとは、計測値の統計的分布の上で、小さいほうから数えて何%目の値は、どれくらいかという見方をする統計的表示法である」
「50パーセンタイル値は中央値とも呼ばれているもので、この値より小さいものと大きいものが半数ずついることになる。また、3パーセンタイル未満のものは全体の3%、97パーセンタイルを超えるものは3%いるはずであり、両者の間には94%のものが含まれていることになる」
グラフに引かれている線は、下から順に3・10・25・50・75・90・97の7本です。いちばん下の線が3パーセンタイル、いちばん上が97パーセンタイル。その間に塗られている帯が、94パーセントの子どもが入る範囲です。
これは推測ではありません。母子健康手帳の府令様式の頭囲のページには、グラフのすぐ下に「帯の中に94パーセントのこどもの値が入ります」という一文がそのまま印刷されています。
「帯の外」は、100人に3人のことです
| グラフ上の位置 | 定義から読める意味 |
| 50の線の上 | この年月齢の子どもを小さいほうから並べたとき、ちょうど真ん中。この線より小さい子と大きい子が半数ずついます |
| 帯の中(3〜97) | 94パーセントの子どもがここに入ります。帯は幅の広い場所で、下のほうも上のほうも、同じように「帯の中」です |
| 3の線より下 | 全体の3パーセント。100人いれば3人がここにいる、という意味の線です |
| 97の線より上 | 同じく全体の3パーセント。100人いれば3人がここにいます |
見ていただきたいのは、3という線が「ここから下は良くない」という線ではないということです。これは順位を表す線で、100人並べたときの3番目のあたりを示しています。どの年月齢にも、必ず3パーセントの子がこの線より下にいます。それは調査が成り立つ前提であって、その子に何かが起きているという意味ではありません。
線と線のあいだを「チャンネル」と呼びます
保健医療の専門職に向けて書かれた国立保健医療科学院の「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」には、この7本の線の呼び方が説明されています。
- 各パーセンタイル値の曲線を「基準線」と言う
- 隣り合う基準線と基準線のあいだを「チャンネル」と言う
- ある1本の基準線を越えて別のチャンネルに移ることを「チャンネルを横切る」と表現する
つまり専門職の側は、その子がどのチャンネルにいるかではなく、そのチャンネルに沿って進んでいるかを見ています。下のほうのチャンネルにいること自体は、記述であって評価ではありません。
※ 同じガイドは、身長についてはパーセンタイルのほかに別の統計指標も使われることを説明しています。どちらも順位や位置を表すための道具で、良し悪しを表す点数ではありません。
見られているのは点ではなく、線です
ここがこの記事のいちばん大事なところです。この考え方は、専門職向けの資料の中だけにあるものではなく、母子健康手帳そのものに、保護者への問いかけとして印刷されています。
母子健康手帳の成長曲線のページに刷られている一文
<お子さんの体重や身長をこのグラフに記入しましょう。>
○身長と体重を記入して、その変化を見てみましょう。
・身長、体重は、曲線のカーブにそっていますか。
・体重は、異常に上向きになっていませんか。
・体重は、低下していませんか。
問いは「カーブにそっていますか」です。「何番目の線より上ですか」でも、「平均に届いていますか」でもありません。手帳の側が、はじめからその子自身の線を追いかけてくださいと書いています。
ある時点だけを見ても、傾向は見えてこない
「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」には、この理由がはっきり書かれています。
発育をみる際の留意点(活用・実践ガイドより)
「発育曲線を描いてみると、子どもの発育パターンは様々であることがわかります。基準線に沿っていくパターンはもとより、当初のチャンネルを早くから上回ったり、あるいはやがてチャンネルを上に横切ったりと何種類もあることがわかりますが、ある時点だけではこれらの傾向は見えてきません。経時的に観察・記録することにより、経過観察や医療機関受診勧奨などのより客観的なアドバイスが可能になります」
健診の日に測った一つの値は、線の上の点が一つ増えただけです。点が二つ、三つとたまって初めて、向きが見えます。「様子を見ましょう」という言葉が、しばしばこの文脈で出てくるのは、そのためです。
チャンネルが上下に移ること自体は、よくあることとされています
同じガイドには、キャッチアップ・キャッチダウンという現象がコラムとして書かれています。
キャッチアップ・キャッチダウン(活用・実践ガイドより)
「出生後に、出生時の体格が小さい方のチャンネルにいた児が大きい方のチャンネルに移動したり(キャッチアップ)、大きい方のチャンネルにいた児が小さい方のチャンネルに移動したりすることがあります(キャッチダウン)。これらは、特に問題のない正常範囲の成長のバリエーションと考えられています」
続けて「もちろん、疾患が隠れている可能性もありますので、総合的な判断は必要ですが、正常範囲のバリエーションである可能性もあることは知っておくと良いと思います」とも書かれています。
伸びる速さは、年齢によってまったく違います
グラフの傾きが年齢とともにゆるやかになるのは、線の引き方の問題ではなく、実際に伸びる速さが変わるからです。同じガイドのコラムは、平均的な子どもについて次のように書いています。
- 出生時から1歳まではおよそ25センチ
- 1歳から2歳まではおよそ10センチ
- 2歳から3歳まではおよそ8センチ
- 3歳から4歳まではおよそ7センチ
- そして4歳のころにおよそ1メートルに達する
1歳から2歳のあいだの1年で伸びる分は、0歳の1年の半分以下です。「去年より伸びが少ない気がする」と感じるのは自然なことで、曲線はもともとそういう形に引かれています。
ご両親の背丈も、読むときの材料になります
同じガイドには、両親の身長からおおよその見当をつける「予測身長」という考え方も紹介されています。男の子はご両親の身長の平均に6.5センチを足した値、女の子は平均から6.5センチを引いた値です。ただしガイド自身が「単純に両親の身長の平均値から導いた値のため、児のパーセンタイル値と多少違っても問題ありません」と注記しています。目安の目安、という位置づけです。
※ ここに挙げた数値は、いずれも専門職が発育を読むときの参考として書かれているものです。この数字とお子さんの伸びを引き算して自己判断する材料ではありません。気になったときは、次の項にある窓口で一緒に見てもらってください。
「小さめですね」と言われたとき、実際に確かめられていること
健診の場でその一言が出たとき、専門職の側が見ているのは、グラフ上の位置そのものではありません。活用・実践ガイドは、体重が少なめの子について、確かめることをこう書いています。
体質的に小食の場合について(活用・実践ガイドより)
「この場合には、発育曲線を用いて、その子どもなりの成長が認められるか病的なものかを観察する必要があります」
見ているのは、よその子と比べた位置ではなく、その子なりの成長が認められるかどうかです。
そして同じガイドは、体重増加について評価するとき「成長に個人差が大きい時期であり、発育曲線だけでなく総合的な判断が必要である」と、繰り返し断っています。グラフ1枚で決まることは何もない、ということです。
健診票のどこに、その一言が残るのか
健診票の様式を見ると、身体のことについて書き込まれる欄は、判定欄だけではありません。1歳6か月児健康診査票には、次の欄が並んでいます。
| 健診票の欄 | 印刷されている選択肢と、そこから進む先 |
| 栄養 | 良 ・ 要指導 「要指導」は、栄養相談や保健指導につなぐという意味の印です |
診察所見 13 生活習慣上の問題 | ア 小食 / イ 偏食 / ウ その他 小食・偏食は、様式にあらかじめ選択肢として刷られています。その場で思いつきで書かれるものではありません |
| 判定 | 1 異常なし / 2 既医療 / 3 要経過観察 / 4 要紹介(要精密・要治療) 「様子を見ましょう」は、多くの場合この3にあたります |
子育て支援の 必要性の判定 | 1 特に問題なし / 2 保健師による支援が必要 / 3 その他の支援が必要 体のことと別に、家庭の側を支える必要があるかを見る欄が独立して置かれています |
身長・体重のことで声をかけられた場合、多くは「栄養:要指導」や「要経過観察」にあたります。これは判断を保留した印ではなく、期間を決めてもう一度確かめるための枠です。
3歳児健診には「( か月位)」という記入欄があります
3歳児健康診査票の判定欄は、「3 要経過観察( か月位)」という形で、期間を書き込む空欄が用意されています。当日、この欄を指しながら「何か月くらい見ますか」と聞くことができます。空欄のまま帰らずに済むと、次に何をすればよいかがその場で決まります。
※ 判定欄の様式は国が示しているものです。お住まいの市区町村が結果をどんな言い方で伝えるかは、自治体ごとに違います。
体重が増えていない、と言われたときに確かめること
幼児期の体重については、活用・実践ガイドが、保護者に伝えるべき内容としていくつかの点を挙げています。意外に思われるかもしれませんが、最初に書かれているのは体の作りの話です。
幼児は、3回の食事だけでは足りない作りをしています
「幼児は1日の活動量が多いために、成人に比べて体重1キログラムあたりに必要とするエネルギーや栄養素は多いです。しかし、消化機能が未発達なので、1日3度の食事だけでは必要量を満たすことが難しくなります。そのため1〜2回の間食を与え、不足分を補う必要があります」
おやつは、ごほうびや余分なものではなく、足りない分を補うための食事の一部として位置づけられています。
食べさせようとするほど、食べにくくなることがあります
同じガイドは、食事量が少ないときの関わり方についても書いています。これは、多くの保護者の方が自分を責めてしまう場面です。
- 「食事摂取量が少ないからといって、食事時間中、子どもを見張るようにしたり、食べることを強制するような声かけをしたりすると、かえって食べる意欲を減じることもあります。そこで、子どもが主体的に食べられるように、ゆったりと構えて、あまり干渉しないことが勧められます」
- 食事の時間に空腹で向かえるよう、睡眠・遊び(運動)・食事の生活リズムを整えることが重要だとされています
- 周囲の大人の食習慣に左右されやすいので、大人が自分の好き嫌いを子どもの前で言わないことも挙げられています
- 健康上の問題がないのに体重が増えにくいとき、子どもと一緒に食事を作ることで食への関心が高まり、食欲につながる場合があるとも書かれています
問診票にも、そのための欄があります
こども家庭庁が示す問診票には、1歳6か月児健診では第20問、3歳児健診では第15問として、まったく同じ設問が置かれています。
問診票の設問(1歳6か月児・3歳児 共通)
「偏食や小食など食事について心配なことがありますか。(いいえ・はい)」
この設問があるということは、そこに「はい」と書いてよいということです。書けば、栄養相談や保健指導につながる入口が開きます。当日その場で言い出しにくければ、事前に記入して持って行く形で伝えられます。
ちなみに、3歳児健診の問診票には第14問「よく噛んで食べる習慣はありますか」、1歳6か月児健診には第10問「スプーンを使って食事ができますか」という設問もあります。食べる量だけでなく、食べ方のほうも見られています。
食べられるものが少ない、という形で現れているとき
量が少ないのではなく、食べられるものの種類が限られているという形で現れることがあります。活用・実践ガイドは、この場合について次のように書いています。
感覚のことが背景にある場合(活用・実践ガイドより)
「感覚過敏を含むこだわりをもつ子どものなかには、偏食があり、体重増加不良がみられることがあります。この場合には、主治医や専門家に相談して、その子どもの特性に合わせた対応をすることが望まれます」
栄養の話と発達の相談が、ここでつながります。「好き嫌い」として片づけずに相談してよい、と国の資料の側に書かれています。
偏食そのものの見方と、家でできる具体的な進め方については、このサイトの「偏食」のページにまとめてあります。ここではこれ以上深追いせず、そちらに譲ります。
※ 食事の量や内容について、この記事は基準値や目標量を示しません。お子さんに必要な量は月齢・活動量・体格によって変わるため、健診の栄養相談や、かかりつけの小児科でご相談ください。
「様子を見ましょう」と言われた期間に、家で何を書いておくか
経時的に観察・記録することで初めて向きが見える、と資料が書いている以上、待っている期間にできるいちばん確実なことは、記録を残しておくことです。そして、その場所はすでに手元にあります。
母子健康手帳の各健診ページの下にある欄
1歳児健診・1歳6か月児健診などのページの下には、次の見出しの表が印刷されています。
「次の健康診査までの記録(自宅などで測定した身長・体重も記入しましょう。)」
列は「年 月 日/年齢(月齢)/体重/身長/特記事項/施設名又は担当者名」。自宅で測った値を書いてよい、と手帳の側が書いています。
こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」も、保健医療従事者に向けて「家庭や保育所・幼稚園などで測定した身長・体重なども積極的に記入したりするよう伝えましょう」、そして「身長・体重などを身体発育曲線に記入すると、成長の様子がよくわかります。記載を続けることで、子どもの成長や健康状態の記録としてかけがえのないものになります」と書いています。
家で測るときに、そろえておくとよいこと
乳幼児身体発育調査で使われている「乳幼児身体発育調査必携」の計測方法には、測るときの注意がいくつも書かれています。国の調査のための手順なので家庭でそのまま行うものではありませんが、条件をそろえると値が比べやすくなるという考え方は同じです。
- 体重を測る前——乳児は授乳直後を避ける。幼児はあらかじめ排便・排尿をすませておく
- 服の重さ——おむつを敷いたり布で包んだりして測るときは、その重量を差し引く
- 体重計——測る前後に0の位置を確かめ、針が静止してから目盛りを読む
- 身長の測り方は2歳で変わります——2歳未満は寝かせて(仰向けで)測り、2歳以上は立たせて測る、と手順が分かれています。測り方が変わる時期には、値の見え方も少し変わります
- 単位——調査では体重は少なくとも10グラム単位、身長は1ミリ単位まで記録します
家庭では、同じ体重計・同じくらいの時刻・同じくらいの服装でそろえておくだけで十分です。大事なのは1回の正確さより、同じ条件の点がいくつも並ぶことです。
数字以外に書いておくと役に立つこと
母子健康手帳の「保護者の記録」のページには、「成長の様子、育児の心配、かかった病気、感想などを自由に記入しましょう」という欄があります。交付・活用の手引きは、この欄を積極的に使うよう勧めています。次の相談のときに、次のようなことが書いてあると話が早くなります。
- 日付つきで——「いつから」が分かると、健診の間隔と重ねて読めます
- 食べられたもの——量ではなく、食べられたものの名前。増えたか減ったかが見えます
- 食べる場面のこと——どこで、誰と、どんなときなら食べられたか
- 体調のこと——熱を出した時期、下痢や便秘が続いた時期。体重の停滞と重なることがあります
- 保育所・幼稚園での計測値——月1回程度の身体計測を行っている施設なら、その数字をそのまま手帳に書き写せます
活用・実践ガイドの第4章は、保育所での身体計測について「特に3〜5歳児は乳幼児健診と学校健診の間の年齢であり、保育所での身体計測は子どもの発育を見守る貴重な機会となります」と書いています。園で測ってもらった数字は、健診と健診のあいだを埋める点になります。
※ 母子健康手帳は、なくしたり汚したりしたときに再交付できることが、こども家庭庁の交付・活用の手引きに書かれています。記録が続かなくなったからといって、書き直す必要はありません。空欄のページは、あとから埋めても構いません。
次に測るのはいつか——健診と健診のあいだをどう埋めるか
「次の健診で見ましょう」と言われたとき、その次がいつなのかは、住んでいる区で決まっています。法令上必ず行われる健診は1歳6か月児健診と3歳児健診の二つで、そのあいだにはおよそ1年半の間隔があきます。
| 時期 | 受ける場と、そこで測られるもの |
| 1歳6か月児健診 | 母子保健法第12条で市町村に義務づけられた健診。身体発育状況・栄養状態を含む11項目 新宿区は「計測、診察」、練馬区は内科健診に「身体計測」と明記 |
| そのあいだ | 2歳児歯科健診や2歳6か月児歯科健診など、区が独自に置いている場(母子保健法第13条)。保育所・幼稚園に通っていれば、園での身体計測。そして自宅で測った値 |
| 3歳児健診 | 同じく第12条の健診。項目は13個に増え、眼と耳・鼻・咽頭が加わります 新宿区は「問診、計測、目の屈折検査、尿検査、診察、歯科健診……」 |
| 5歳児健診 | 母子保健法第13条にもとづき、実施する自治体が広がっている健診。あるかどうかは自治体で違います 新宿区は満4歳6か月〜6歳未満で希望・予約制、内容は「集団遊び、問診、計測、診察、個別相談」 |
間隔があくのが心配なときは、待たなくてよい
次の健診まで待つ必要はありません。母子保健法 第10条は、市町村は幼児の保護者に対して育児に関し必要な保健指導を行い、または医師・歯科医師・助産師・保健師について保健指導を受けることを勧奨しなければならない、と定めています。第13条は、必要に応じて健康診査を行い、または受けることを勧奨しなければならない、としています。相談に応じることは、市町村の側の仕事として書かれているということです。
- 保健センター・保健相談所——健診を担当している部署です。身体計測だけを受けに行ける日を設けている区もあります
- 栄養相談——練馬区の1歳6か月児健診では、歯科健診の日に「栄養相談」が同時に行われています。区によって、健診の日と別に相談の枠を置いています
- かかりつけの小児科——予防接種や体調不良で受診する機会に、母子健康手帳を持って行けば、そのときの体重・身長を書き足してもらえます
- 経過観察のための健診——「要経過観察」と判定された場合、市区町村が経過観察健診・二次健診・電話相談などのフォローアップの場を用意しています
※ 予防接種で受診したときも計測してもらえるかは医療機関によります。受付で母子健康手帳を出しながら「体重も測っていただけますか」と一言添えると確実です。
医療につながるのはどんなときか、そして手帳の記録が効いてくる場面
健診票の判定欄の四番目は「要紹介(要精密・要治療)」です。この判定が付いた場合、その場で渡される紙には名前があります。
1歳6か月児・3歳児 健康診査 精密健康診査(判定相談)受診票
こども家庭庁の通知の別添7として様式が示されている書類です。発行番号・児童氏名・生年月日・保護者氏名・居住地に加えて、「有効期間 令和 年 月 日 から 月 日 まで」という欄があります。
市町村長(特別区長)から委託医師あてに出される依頼状の形をしていて、費用は市区町村の側で扱われる仕組みになっています。有効期間の欄があるので、受け取ったらまずそこに書かれている日付を確かめてください。
どこにかかることになるのか
身長・体重のことで進む先は、まず小児科です。健診票の様式を見ると、身体測定と診察所見は小児科の医師が記入する構成になっています。3歳児健康診査票にはこれに加えて眼科所見と耳鼻咽喉科所見の欄が独立して置かれ、それぞれに別の判定欄と診察日・診査医名の欄があります。所見の種類ごとに、行き先が分かれるという設計です。
| 言われた内容 | どこへ、どんな形で進むか |
| 身体の発育について | まず小児科。健診票の診察所見の一番目が「1 身体的発育異常」で、判定が「要紹介」なら精密健康診査(判定相談)受診票が交付されます |
| 栄養・食事について | 「栄養:要指導」であれば、健診の場か、後日の栄養相談へ。医療ではなく保健指導の枠です |
| もう少し見たいとき | 「要経過観察」。3歳児健診では期間を書く欄があります。経過観察健診や電話相談などのフォローアップにつながります |
| すでにかかっているとき | 「既医療」。健診としては新たな紹介をせず、かかっている医療機関での相談・管理を続けます |
手帳の記録が、あとでものを言う場面
こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」は、記録を残しておくことの意味を、具体的な場面で説明しています。
- 受診したときの材料になる——「これらの記録は、万一大きな病気にかかったときなどにも、重要な情報となります」
- 公的な証明になる——「予防接種の記録は予防接種済証と呼ばれる公的な証明にもなる」
- 就学以降も使う——「予防接種の有無は就学以降もたびたび必要となる情報ですので、長期に保管すると役立つ」
- 早く気づける場合がある——手引きは発育曲線について、「曲線に計測結果を記入して、折れ線でつなぐことにより、子どもの発育を実感することができるとともに、子どもの発育状態を客観的に判断することができます。また、まれに認められる成長ホルモン分泌不全などの疾患を早期発見することもできます」と書いています
そして手引きは、そのすぐあとにこう続けています。「なお、子どもの発育には個人差があるので、発育の傾向や子どもの状態を総合的に見て、発育評価を行うことが重要です」。曲線は入口であって、結論ではない、ということが、国の資料の側にきちんと書き添えられています。
今日から、無理なくできること
- 母子健康手帳の発育曲線のページを開き、今日の値を点で書き入れる。グラフの見出しに、平成22年調査か令和5年調査かが刷られています
- 前回の健診の値も書き入れて、点を線でつなぐ。点が二つあれば、もう向きが見えます
- 次の健診までの記録の表に、日付と体重・身長を書く欄を作っておく。家で測った値も、園で測ってもらった値も、同じ表に書けます
- 判定欄に「要経過観察」と書かれていたら、期間の欄を確かめる。3歳児健診には「( か月位)」の欄があります。空欄なら、電話で聞いて構いません
- 心配なことがあるなら、次の健診を待たずに保健センターへ電話する。相談に応じることは、母子保健法で市町村の役割として定められています
曲線は、その子を採点するための紙ではありません。その子がどう伸びてきたかを、時間をかけて見せてくれる紙です。点が一つでは何も見えず、点が増えるほど読めるようになります。今日の一点も、そのうちの一つです。
出典
- 母子保健法(昭和40年法律第141号)/e-Gov法令検索第10条(保健指導)=市町村は幼児の保護者に対し育児に関し必要な保健指導を行い、または医師・歯科医師・助産師・保健師について保健指導を受けることを勧奨しなければならない/第12条(健康診査)=市町村は「満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児」「満三歳を超え満四歳に達しない幼児」に健康診査を行わなければならない/第13条=前条のほか市町村は必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して健康診査を行い、または健康診査を受けることを勧奨しなければならない/第16条(母子健康手帳)=市町村は妊娠の届出をした者に母子健康手帳を交付しなければならない。第2項=乳児又は幼児の健康診査又は保健指導を受けた保護者は母子健康手帳に必要な事項の記載を受けなければならない。第3項=母子健康手帳の様式は内閣府令で定める
- 母子保健法施行規則(昭和40年厚生省令第55号)/e-Gov法令検索第2条第1項=1歳6か月児健診の項目11個。その一号が「身体発育状況」、二号が「栄養状態」/第2条第2項=3歳児健診の項目13個。同じく一号「身体発育状況」・二号「栄養状態」で始まり、1歳6か月児の11項目に「眼の疾病及び異常の有無」「耳、鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無」が加わる/第7条(母子健康手帳の様式)=法第16条第3項の内閣府令で定める様式は「様式第三号又はその他これに類するものであつてこども家庭庁長官が定めるもの」及び所定7項目(乳幼児の養育に当たり必要な情報、相談窓口に関する情報、予防接種に関する情報等)を記載したものによる
- 厚生労働省「乳幼児身体発育調査:調査の概要」調査の目的=「全国的に乳幼児の身体発育の状態を調査し、我が国の乳幼児の身体発育値及び発育曲線を明らかにして、乳幼児保健指導の改善に資することを目的とする」/調査の根拠法令=統計法に基づく一般統計調査/調査の時期=「10年周期」/別紙3「計測器具及び計測方法(乳幼児身体発育調査必携より抜粋)」=体重計は感度10g単位以内・事前に検査し目盛りのくるいを調整/体重の計測は乳児は授乳直後を避け、幼児はあらかじめ排便・排尿をすませておく/おむつを敷いたり布でつつんで計測するときはその重量を差し引く/計測の前後に体重計の0位を確かめ、指針が静止してから目盛りを読む/体重は少なくとも10g単位、身長・胸囲・頭囲は1mm単位/身長は2歳未満は仰臥位(寝かせて)、2歳以上は立位で計測し「立位での測定がどうしても無理な場合は測定不能とします。寝かせての測定は不可です」/頭囲は前方は左右の眉の直上、後方は後頭部の一番突出しているところを通る周径
- こども家庭庁「令和5年乳幼児身体発育調査」用語の解説②パーセンタイル=「パーセンタイルとは、計測値の統計的分布の上で、小さいほうから数えて何%目の値は、どれくらいかという見方をする統計的表示法である」/3、10、25、50、75、90及び97パーセンタイルの数値が男女別に示されている/「50パーセンタイル値は中央値とも呼ばれているもので、この値より小さいものと大きいものが半数ずついることになる。また、3パーセンタイル未満のものは全体の3%、97パーセンタイルを超えるものは3%いるはずであり、両者の間には94%のものが含まれていることになる」/調査の時期=一般調査は令和5年9月1日から30日までの期間中に市区町村長又は保健所の所長が日を定めて行った/一般調査の実施=「調査対象児の計測、問診又は母子健康手帳からの転記若しくは調査対象児の付添人からの聴取により、市区町村又は保健所が選定した調査員(医師、保健師等)が全て記入した」/調査客体数=一般調査票11,190人(回収6,892人・集計6,892人)、病院調査票150病院(回収4,306人/148病院・集計4,302人)/公表予定=令和5年調査は令和6年12月25日公表/調査の根拠法令=統計法に基づく一般統計調査
- こども家庭庁「令和5年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要」(PDF)「乳幼児の体重、身長及び頭囲の平均値について、前回の平成22年調査と比較したところ、……大きな変化はない」/低出生体重児(2,500g未満)の割合は一般調査及び病院調査による男女総数で9.6%/運動機能通過率(表9)=「ひとり歩き」は生後1年4〜5か月未満の幼児の90%以上でできると回答(96.9%)。平成22年調査では生後1年3〜4か月未満で90%以上(92.6%)だった/言語機能通過率(表10)=生後1年6〜7か月未満の乳幼児の90%以上(91.1%)が一語以上の言葉を話すと回答/幼児の身長体重曲線は肥満度判定(やせ及び肥満の評価)のために作成したもので、1歳以上の客体について身長に対する体重の値を身長の2次式で表したもの/調査結果の比較は昭和35年・昭和45年・昭和55年・平成2年・平成12年・平成22年及び令和5年の7回分が並べられている
- こども家庭庁「母子健康手帳の様式(府令様式・令和8年4月1日施行)」(PDF)発育曲線のページ見出し=「男の子 乳児身体発育曲線(令和5年調査)」「男の子 幼児身体発育曲線(令和5年調査)」「女の子……」、および頭囲の「乳幼児身体発育曲線(令和5年調査)」、「幼児の身長体重曲線(令和5年調査)」/出典表記=「(出典)こども家庭庁令和5年乳幼児身体発育調査報告」/各ページ上部=「<お子さんの体重や身長をこのグラフに記入しましょう。>」/頭囲のページの注記=「頭囲のグラフ;帯の中に94パーセントのこどもの値が入ります。なお、頭囲は左右の眉の直上を通るようにして測ったものです」/身長体重曲線のページの注記=「こどものからだつきは成長とともに変化し、個人差も大きいのですが、この曲線を肥満とやせの一応の目安としてください。「ふつう」に入らないからといってただちに異常というわけではありませんが、心配な場合は医師等に相談しましょう。身体計測を行ったときはこのグラフに記入し、成長に伴う変化をみるようにしましょう」/各健診ページ下の表の見出し=「次の健康診査までの記録(自宅などで測定した身長・体重も記入しましょう。)」、列は「年 月 日/年齢(月齢)/体重/身長/特記事項/施設名又は担当者名」/保護者の記録欄=「成長の様子、育児の心配、かかった病気、感想などを自由に記入しましょう」/1歳児健康診査のページに「栄養状態:良・要指導」の欄
- こども家庭庁「母子健康手帳の様式(任意様式)」(PDF)「男子 成長曲線」「女子 成長曲線」(平成16年2月作成)のページに、「○身長と体重を記入して、その変化を見てみましょう。・身長、体重は、曲線のカーブにそっていますか。・体重は、異常に上向きになっていませんか。・体重は、低下していませんか。」と印刷されている/「成長曲線のまんなかの曲線(50のカーブ)が標準の成長曲線です」/出典は「食を通じた子どもの健全育成(−いわゆる「食育」の視点から−)のあり方に関する検討会」報告書/同じ様式に「学童期以降の記録(小学生の記録)」があり、学年ごとに身長・体重・視力等を記録する表が続く
- こども家庭庁「母子健康手帳の交付・活用の手引き」(PDF)「乳幼児身体発育曲線、幼児身長体重曲線は、子どもの体格の現況を反映するため、10年に1度改訂されています」/(令和5年4月時点の記述として)「現在の母子健康手帳には、平成22年の乳幼児身体発育調査の結果をもとに作成された曲線が掲載されています」/「曲線に計測結果を記入して、折れ線でつなぐことにより、子どもの発育を実感することができるとともに、子どもの発育状態を客観的に判断することができます。また、まれに認められる成長ホルモン分泌不全などの疾患を早期発見することもできます」/「なお、子どもの発育には個人差があるので、発育の傾向や子どもの状態を総合的に見て、発育評価を行うことが重要です」/「家庭や保育所・幼稚園などで測定した身長・体重なども積極的に記入したりするよう伝えましょう」/「身長・体重などを身体発育曲線に記入すると、成長の様子がよくわかります。記載を続けることで、子どもの成長や健康状態の記録としてかけがえのないものになります」/「これらの記録は、万一大きな病気にかかったときなどにも、重要な情報となります」/「予防接種の記録は予防接種済証と呼ばれる公的な証明にもなるほか、予防接種の有無は就学以降もたびたび必要となる情報ですので、長期に保管すると役立つ」/母子健康手帳は汚したり紛失したりしたときには再交付できる/0〜18歳までの発育を評価するため、乳幼児身体発育曲線・幼児身長体重曲線・成長曲線の3種類の曲線が母子健康手帳に掲載されている
- 国立保健医療科学院「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」(令和3年3月・PDF)序文=「その基準値として、わが国ではほぼ10年ごとに実施されている乳幼児身体発育調査による発育値およびそれを図示した身体発育曲線が用いられています」/「パーセンタイル値は、どの程度の割合の子どもがその線の付近までに入ることが予想されるかを意味します」/「各パーセンタイル値の曲線を基準線と言います。また、隣接する基準線と基準線のあいだのことを「チャネル」もしくは「チャンネル」と言います」/「ある1本の基準線を越えて別のチャンネルに移動することを「チャンネルを横切る」等の表現で表します」/発育をみる際の留意点=「基準線に沿っていくパターンはもとより、当初のチャンネルを早くから上回ったり、あるいはやがてチャンネルを上に横切ったりと何種類もあることがわかりますが、ある時点だけではこれらの傾向は見えてきません。経時的に観察・記録することにより、経過観察や医療機関受診勧奨などのより客観的なアドバイスが可能になります」/コラム「キャッチアップ・キャッチダウン」=小さい方のチャンネルにいた児が大きい方に移動したり(キャッチアップ)、その逆(キャッチダウン)が起き、「これらは、特に問題のない正常範囲の成長のバリエーションと考えられています」「もちろん、疾患が隠れている可能性もありますので、総合的な判断は必要ですが、正常範囲のバリエーションである可能性もあることは知っておくと良い」/コラム「一般的な成長について」=出生時から1歳までは約25cm、1歳から2歳までは約10cm、2歳から3歳までは約8cm、3歳から4歳までは約7cm伸び、4歳時には約1mの身長に達する/コラム「予測身長」=男児は両親の身長の平均に6.5cmを加えた値、女児は平均から6.5cmを引いた値。「単純に両親の身長の平均値から導いた値のため、児のパーセンタイル値と多少違っても問題ありません」/授乳期の体重増加不良=「成長に個人差が大きい時期であり、発育曲線だけでなく総合的な判断が必要である」/体質的に小食の場合=「発育曲線を用いて、その子どもなりの成長が認められるか病的なものかを観察する必要があります」/「感覚過敏を含むこだわりをもつ子どものなかには、偏食があり、体重増加不良がみられることがあります。この場合には、主治医や専門家に相談して、その子どもの特性に合わせた対応をすることが望まれます」/幼児期の体重増加不良=「幼児は1日の活動量が多いために、成人に比べて体重1㎏あたりに必要とするエネルギーや栄養素は多いです。しかし、消化機能が未発達なので、1日3度の食事だけでは必要量を満たすことが難しくなります。そのため1〜2回の間食を与え、不足分を補う必要があります」/「食事摂取量が少ないからといって、食事時間中、子どもを見張るようにしたり、食べることを強制するような声かけをしたりすると、かえって食べる意欲を減じることもあります。そこで、子どもが主体的に食べられるように、ゆったりと構えて、あまり干渉しないことが勧められます」/「食事時間が空腹でむかえられるように、睡眠・遊び(運動)、食事などの生活リズムを整えることが重要です」/「子どもと生活を共にする周囲の大人の食習慣に左右されやすいので、周囲の大人は自身の好き嫌いを子どもの前では言わないようにすることも大切です」/「健康上の問題がないにもかかわらず、体重増加不良の場合には、幼児と一緒に食事を作ることによって、幼児の食への興味・関心が高まり、食欲が増進し、体重増加につながる場合もあります」/第4章の趣旨=「特に3〜5歳児は乳幼児健診と学校健診の間の年齢であり、保育所での身体計測は子どもの発育を見守る貴重な機会となります」/「「発育」「成長」は体の大きさの変化、「発達」は体のはたらきの変化の意味で用いています」
- こども家庭庁「乳幼児に対する健康診査について」(改正後全文・令和7年9月1日 第7次改正/PDF)3〜4か月児健康診査票の身体測定欄=身長(cm)/体重(g)/頭囲(cm)/カウプ指数/1歳6か月児健康診査票の身体測定欄=身長(cm)/体重(kg)/頭囲(cm)/3歳児健康診査票の身体測定欄=身長(cm)/体重(kg)(頭囲欄はなく、検尿・眼科所見・耳鼻咽喉科所見の欄がある)/いずれの健診票も診察所見の第1項目が「1 身体的発育異常」/1歳6か月児健康診査票の診察所見「13 生活習慣上の問題」の選択肢=「ア 小食/イ 偏食/ウ その他」/同じ票の「栄養」欄=「良・要指導」/「育児環境等」=ア 生活リズム/イ 母の心身状態/ウ その他/判定欄=「1 異常なし / 2 既医療 / 3 要経過観察 / 4 要紹介(要精密・要治療)」と紹介先・診査医名の欄/「子育て支援の必要性の判定」欄=「1 特に問題なし / 2 保健師による支援が必要 / 3 その他の支援が必要」/3歳児健康診査票の眼科所見・耳鼻咽喉科所見の判定欄=「1 異常なし 2 既医療 3 要経過観察( か月位) 4 要精密検査」(期間を書く空欄がある)/1歳6か月児健康診査問診票 第10問「スプーンを使って食事ができますか。(はい・いいえ)」、第20問「偏食や小食など食事について心配なことがありますか。(いいえ・はい)」/3歳児健康診査問診票 第6問「ほぼこぼさないで一人で食べますか。」、第14問「よく噛んで食べる習慣はありますか。」、第15問「偏食や小食など食事について心配なことがありますか。(いいえ・はい)」/別添7=「1歳6か月児/3歳児 健康診査 精密健康診査(判定相談)受診票」。発行番号・児童氏名及び生年月日・保護者氏名・居住地・「有効期間 令和 年 月 日 から 月 日 まで」の欄があり、市町村長(特別区長)から委託医師(児童相談所長)あてに出される様式
- 新宿区「子どもの健診」(2026年4月1日更新)3〜4か月児健診=内容「問診、計測、診察、個別相談(育児・離乳食・歯等)」、対象は生後3か月〜6か月未満、担当の保健センター/6〜7か月児健診・9〜10か月児健診=内容「計測、診察」、都内委託医療機関/1歳6か月児健診=内容「計測、診察」、対象は満1歳6か月〜2歳未満、区内委託医療機関、1歳6か月の頃に受診票を個別送付/1歳6か月児歯科健診=担当の保健センターで、問診・歯科健診・口のケアのアドバイス・育児・栄養相談・骨密度測定(希望者のみ)/3歳児健診=内容「問診、計測、目の屈折検査、尿検査、診察、歯科健診、口のケアのアドバイス、育児・栄養相談、骨密度測定(希望者のみ)」、対象は満3歳〜4歳未満、担当の保健センター/5歳児健診=内容「集団遊び、問診、計測、診察、個別相談」、対象は満4歳6か月〜6歳未満、希望・予約制、令和8年7月から実施/保健センターは牛込・四谷・東新宿・落合の4か所/すべての回の内容に「計測」が入っている
- 練馬区「1歳6か月児健康診査(歯科健診)」(2025年12月1日更新)「1歳6か月児健康診査は、区内契約医療機関で受診する内科健診と担当地域の保健相談所で受診する歯科健診(育児相談、栄養相談、発達相談も同時実施)の二つの健診を受診することになります。内科健診を先に済ませてから、保健相談所の歯科健診にお越しください」/内容の1=「内科健診、身体計測、診察、保健指導」(区内契約医療機関・受診票を使用・予約が必要になる場合あり)/内容の2=「歯科健診、歯みがき相談、育児相談、栄養相談、発達相談」(担当地域の保健相談所)/実施時期=1歳6か月から7か月頃/対象者には担当地域の保健相談所からお知らせを郵送/保健相談所は豊玉・北・光が丘・石神井・大泉・関の6か所
※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
母子健康手帳の曲線の、下のほうにいます。これは問題があるということですか。
グラフに引かれている線は、その年月齢の子どもを小さいほうから並べたときの順位を表しています。こども家庭庁の令和5年乳幼児身体発育調査の用語の解説は、「3パーセンタイル未満のものは全体の3%、97パーセンタイルを超えるものは3%いるはずであり、両者の間には94%のものが含まれている」と定義しています。つまりどの年月齢にも、必ず一定の割合の子がそこにいるという前提で引かれた線です。母子健康手帳の身長体重曲線のページにも「「ふつう」に入らないからといってただちに異常というわけではありませんが、心配な場合は医師等に相談しましょう」と印刷されています。専門職が見ているのは位置そのものではなく、その子なりの伸びが続いているかです。
あの曲線は、いつ・誰を測って作られたものですか。
厚生労働省とこども家庭庁が10年周期で行っている「乳幼児身体発育調査」の結果です。目的は「我が国の乳幼児の身体発育値及び発育曲線を明らかにして、乳幼児保健指導の改善に資すること」とされています。直近は令和5年9月に実施され、令和6年12月25日に公表されました。一般調査で集計されたのは6,892人、病院調査で4,302人です。母子健康手帳の府令様式(令和8年4月1日施行)のグラフには「乳児身体発育曲線(令和5年調査)」と刷られ、出典として「こども家庭庁令和5年乳幼児身体発育調査報告」と書かれています。
健診で身長と体重を測るのは、決まっているのですか。
はい。母子保健法施行規則 第2条が、1歳6か月児健診で行う項目11個の一号に「身体発育状況」、二号に「栄養状態」を挙げています。3歳児健診の13項目も同じ二つから始まります。その上位にある母子保健法 第12条は、この二つの健診を市町村が「行わなければならない」と定めています。実際の区の案内でも、たとえば新宿区は3〜4か月児から5歳児まですべての健診の内容に「計測」を入れており、練馬区は1歳6か月児健診の内科健診を「内科健診、身体計測、診察、保健指導」と説明しています。
自宅で測った身長・体重を、母子健康手帳に書いてもよいのでしょうか。
書いてよい、と手帳の側に書かれています。各健診ページの下にある表の見出しが「次の健康診査までの記録(自宅などで測定した身長・体重も記入しましょう。)」です。こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」も「家庭や保育所・幼稚園などで測定した身長・体重なども積極的に記入したりするよう伝えましょう」と書いています。家庭では同じ体重計・同じくらいの時刻・同じくらいの服装でそろえておけば十分です。1回の正確さより、同じ条件の点がいくつも並ぶことのほうが役に立ちます。
体重が増えないと言われました。まず何をすればよいですか。
国立保健医療科学院の「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」は、幼児について「消化機能が未発達なので、1日3度の食事だけでは必要量を満たすことが難しくなります。そのため1〜2回の間食を与え、不足分を補う必要があります」と書いています。同時に「食べることを強制するような声かけをしたりすると、かえって食べる意欲を減じることもあります」とも書かれています。まずは食事の時間に空腹で向かえるよう、睡眠・遊び・食事のリズムを整えること、そして健診の栄養相談で相談することです。問診票には「偏食や小食など食事について心配なことがありますか」という設問があるので、そこに「はい」と書けば相談につながります。
偏食が強くて、食べられるものが少ないのですが。
活用・実践ガイドには「感覚過敏を含むこだわりをもつ子どものなかには、偏食があり、体重増加不良がみられることがあります。この場合には、主治医や専門家に相談して、その子どもの特性に合わせた対応をすることが望まれます」と書かれています。栄養の話と発達の相談は、ここでつながります。「好き嫌い」として片づけずに相談してよい、ということです。偏食そのものの見方と家での進め方は、当サイトの
偏食のページにまとめてあります。
次の健診まで待つように言われましたが、それまで何もできませんか。
待つ必要はありません。母子保健法 第10条は、市町村が幼児の保護者に対して育児に関し必要な保健指導を行い、または保健指導を受けることを勧奨しなければならないと定めています。第13条も、必要に応じて健康診査を行い、または受けることを勧奨しなければならないとしています。相談に応じることは市町村の側の仕事として条文に書かれているということです。保健センター・保健相談所に電話して構いません。また、予防接種などでかかりつけの小児科を受診する機会に母子健康手帳を出せば、そのときの体重・身長を書き足してもらえます。
「要経過観察」と書かれていました。どのくらい見るのでしょうか。
3歳児健康診査票の判定欄は「3 要経過観察( か月位)」という形になっていて、期間を書き込む空欄が用意されています。その場で「何か月くらい見ますか」と尋ねられる欄です。空欄のまま渡されていたら、あとから保健センターに電話して確かめて構いません。なお「要経過観察」は判断を保留した印ではなく、期間を決めてもう一度確かめるための枠です。判定欄には「1 異常なし/2 既医療/3 要経過観察/4 要紹介(要精密・要治療)」の四つしか選択肢がありません。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。