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健診で身長・体重のことを言われたら——成長曲線は、その子の線を追う道具です

最終更新:2026年9月7日
健診の会場で身長と体重を測ってもらい、母子健康手帳のグラフに点を書き入れてもらった——その帰り道に、「少し小さめですね」「体重の増えを見ていきましょう」と言われた言葉が残っているのだと思います。
このページでは、健診でなぜ身長と体重を測るのかを法令の条文から確かめ、母子健康手帳に印刷されているあの曲線が、何をもとに引かれた線なのかを、その線のもとになった国の調査の報告書そのものから開いていきます。あわせて、帯(パーセンタイル)が何を意味しているのかなぜ一つの点ではなく線を見るのか、そして次に測るのはいつで、そのあいだ家で何を書きとめておくとよいのかまでを、確認できた一次資料の範囲で書きます。曲線は、よその子と比べるために印刷されているものではありません。その子の伸び方を、時間をかけて追いかけるための道具です。

健診では、ことばや行動と同じ日に、身長と体重も測っています

乳幼児健診で気になるのは、たいてい、ことばや行動について言われた一言のほうです。けれど健診の用紙をよく見ると、いちばん上に置かれているのは身体測定の欄です。これは会場の都合ではなく、法令でそう決まっているからです。

母子保健法施行規則 第2条(健康診査)

1歳6か月児健診で行う項目は、条文に11個列挙されています。その一号が「身体発育状況」二号が「栄養状態」です。3歳児健診は13個で、やはり一号・二号は同じ二つから始まります。

つまり、身長と体重を測ることは、健診の付随作業ではなく、全員に対して確かめると条文に書かれている、最初の二項目です。

この条文の上位にあるのが母子保健法 第12条で、市町村は1歳6か月児と3歳児に対して健康診査を「行わなければならない」と定めています。さらに第13条は、この二つ以外にも「必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない」としています。3〜4か月児健診や5歳児健診が自治体ごとに置かれているのは、この第13条の側です。

健診票の身体測定欄には、何を書く欄があるのか

こども家庭庁が示している健康診査票の様式には、年齢ごとに次の欄が並んでいます。実物の様式に印刷されている項目だけを挙げます。

健診身体測定の欄に印刷されている項目
3〜4か月児身長 / 体重 / 頭囲 / カウプ指数
体重はグラム、身長・頭囲はセンチの単位で刷られています
1歳6か月児身長 / 体重 / 頭囲
この年齢から体重の単位がキログラムになります
3歳児身長 / 体重
頭囲の欄はなく、代わりに検尿・眼科所見・耳鼻咽喉科所見の欄が加わります

そして、どの年齢の健診票にも、診察所見のいちばん最初の項目として「1 身体的発育異常」という選択肢が置かれています。身長・体重は、測って記録して終わりではなく、医師が所見を付ける対象として設計されています。

東京23区の案内でも、身体計測は必ず書かれています

実際の区の案内を二つ開いてみます。書かれ方は区によってかなり違いますが、計測がどこかに必ず入っていることは共通しています。

※ 区によって、内科と歯科を別々の日・別々の場所で受ける形になっていることがあります。身体計測がどちらに入っているかも区で違うので、お手元の案内の「健診の内容」の欄をご確認ください。

母子健康手帳のあの曲線は、何をもとに引かれた線なのか

母子健康手帳を開くと、体重と身長のグラフが男の子用・女の子用に分かれて印刷されています。この曲線には、はっきりした出どころがあります。

乳幼児身体発育調査(10年に一度の全国調査)

厚生労働省が公表している調査の概要には、目的がこう書かれています。「全国的に乳幼児の身体発育の状態を調査し、我が国の乳幼児の身体発育値及び発育曲線を明らかにして、乳幼児保健指導の改善に資することを目的とする」

調査の時期の欄には、ひとことだけ「10年周期」と書かれています。実際に、昭和35年・昭和45年・昭和55年・平成2年・平成12年・平成22年・令和5年と、およそ10年ごとに調べ直されてきました。

つまりあの曲線は、誰かが決めた理想の伸び方ではありません。その時代に日本で暮らしている乳幼児を、実際に数千人測った結果を、なめらかな線につなぎ直したものです。

いちばん新しい調査は令和5年に行われました

こども家庭庁が公表している令和5年乳幼児身体発育調査の内容は、次のとおりです。

項目令和5年乳幼児身体発育調査で公表されている内容
いつ測ったか一般調査は令和5年9月1日から30日までのうち、市区町村長または保健所長が定めた日。病院調査も同じ9月中で、病院で1か月健診が行われる日
誰が測ったか市区町村または保健所が選定した調査員(医師、保健師等)が、計測・問診、あるいは母子健康手帳からの転記や付添人からの聴取によって、調査票をすべて記入した
何人分か一般調査票=調査客体11,190人のうち集計6,892人。病院調査票=150病院を抽出し、集計4,302人
合わせておよそ1万1千人分の実測値から引かれた線です
いつ出たか令和6年12月25日 公表
手帳への反映こども家庭庁が示す母子健康手帳の府令様式のうち、令和8年4月1日施行のものには、「乳児身体発育曲線(令和5年調査)」「幼児身体発育曲線(令和5年調査)」と刷られ、ページの下に「(出典)こども家庭庁令和5年乳幼児身体発育調査報告」と書かれています

ここで一つ、気を楽にしていただける事実があります。令和5年調査の結果の概要は、体重・身長・頭囲の平均値について、前回の平成22年調査と比べて「大きな変化はない」と明記しています。10年たっても、日本の乳幼児の体格そのものは大きくは動いていません。

ものさしの側も、10年ごとに引き直されています

こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」は、この曲線について「乳幼児身体発育曲線、幼児身長体重曲線は、子どもの体格の現況を反映するため、10年に1度改訂されています」と説明しています。つまり、線は固定された正解ではなく、今の子どもたちの姿に合わせて描き直されるものです。

実際、令和5年調査では、運動や言語の通過率のほうにも動きが出ています。一人歩きができると回答した割合が90パーセントを超えるのは、平成22年調査では生後1年3〜4か月未満でしたが、令和5年調査では生後1年4〜5か月未満でした。一語以上の言葉を話すと回答した割合が90パーセントを超えるのは、どちらの調査でも生後1年6〜7か月未満です。ものさしの目盛りそのものが、10年でこのくらいは動きます。

母子健康手帳に曲線が載っている根拠

母子保健法 第16条——市町村は妊娠の届出をした者に母子健康手帳を交付しなければならない。そして第3項で「母子健康手帳の様式は、内閣府令で定める」としています。

その内閣府令が母子保健法施行規則 第7条で、様式第三号またはこども家庭庁長官が定めるものによる、と定めています。発育曲線のページは、この様式の一部です。全国どこで交付された手帳にも同じ曲線が入っているのは、そのためです。

※ こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」は令和5年4月時点のもので、本文では「現在の母子健康手帳には、平成22年の乳幼児身体発育調査の結果をもとに作成された曲線が掲載されています」と書かれています。お手元の手帳がいつ交付されたものかによって、印刷されている曲線が平成22年調査のものか令和5年調査のものかが変わります。グラフの見出しに調査年が刷られているので、そこで確かめられます。

帯(パーセンタイル)が意味していること

グラフには、細い線が何本も引かれ、その真ん中あたりが帯のように塗られています。この線の一本一本には、はっきりした意味があります。定義は、調査の報告書の「用語の解説」にそのまま書かれています。

パーセンタイルの定義(令和5年乳幼児身体発育調査 用語の解説)

「パーセンタイルとは、計測値の統計的分布の上で、小さいほうから数えて何%目の値は、どれくらいかという見方をする統計的表示法である」

「50パーセンタイル値は中央値とも呼ばれているもので、この値より小さいものと大きいものが半数ずついることになる。また、3パーセンタイル未満のものは全体の3%、97パーセンタイルを超えるものは3%いるはずであり、両者の間には94%のものが含まれていることになる」

グラフに引かれている線は、下から順に3・10・25・50・75・90・97の7本です。いちばん下の線が3パーセンタイル、いちばん上が97パーセンタイル。その間に塗られている帯が、94パーセントの子どもが入る範囲です。

これは推測ではありません。母子健康手帳の府令様式の頭囲のページには、グラフのすぐ下に「帯の中に94パーセントのこどもの値が入ります」という一文がそのまま印刷されています。

「帯の外」は、100人に3人のことです

グラフ上の位置定義から読める意味
50の線の上この年月齢の子どもを小さいほうから並べたとき、ちょうど真ん中。この線より小さい子と大きい子が半数ずついます
帯の中(3〜97)94パーセントの子どもがここに入ります。帯は幅の広い場所で、下のほうも上のほうも、同じように「帯の中」です
3の線より下全体の3パーセント。100人いれば3人がここにいる、という意味の線です
97の線より上同じく全体の3パーセント。100人いれば3人がここにいます

見ていただきたいのは、3という線が「ここから下は良くない」という線ではないということです。これは順位を表す線で、100人並べたときの3番目のあたりを示しています。どの年月齢にも、必ず3パーセントの子がこの線より下にいます。それは調査が成り立つ前提であって、その子に何かが起きているという意味ではありません。

線と線のあいだを「チャンネル」と呼びます

保健医療の専門職に向けて書かれた国立保健医療科学院の「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」には、この7本の線の呼び方が説明されています。

つまり専門職の側は、その子がどのチャンネルにいるかではなく、そのチャンネルに沿って進んでいるかを見ています。下のほうのチャンネルにいること自体は、記述であって評価ではありません。

※ 同じガイドは、身長についてはパーセンタイルのほかに別の統計指標も使われることを説明しています。どちらも順位や位置を表すための道具で、良し悪しを表す点数ではありません。

見られているのは点ではなく、線です

ここがこの記事のいちばん大事なところです。この考え方は、専門職向けの資料の中だけにあるものではなく、母子健康手帳そのものに、保護者への問いかけとして印刷されています。

母子健康手帳の成長曲線のページに刷られている一文

<お子さんの体重や身長をこのグラフに記入しましょう。>

○身長と体重を記入して、その変化を見てみましょう。
身長、体重は、曲線のカーブにそっていますか。
・体重は、異常に上向きになっていませんか。
・体重は、低下していませんか。

問いは「カーブにそっていますか」です。「何番目の線より上ですか」でも、「平均に届いていますか」でもありません。手帳の側が、はじめからその子自身の線を追いかけてくださいと書いています。

ある時点だけを見ても、傾向は見えてこない

「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」には、この理由がはっきり書かれています。

発育をみる際の留意点(活用・実践ガイドより)

「発育曲線を描いてみると、子どもの発育パターンは様々であることがわかります。基準線に沿っていくパターンはもとより、当初のチャンネルを早くから上回ったり、あるいはやがてチャンネルを上に横切ったりと何種類もあることがわかりますが、ある時点だけではこれらの傾向は見えてきません。経時的に観察・記録することにより、経過観察や医療機関受診勧奨などのより客観的なアドバイスが可能になります」

健診の日に測った一つの値は、線の上の点が一つ増えただけです。点が二つ、三つとたまって初めて、向きが見えます。「様子を見ましょう」という言葉が、しばしばこの文脈で出てくるのは、そのためです。

チャンネルが上下に移ること自体は、よくあることとされています

同じガイドには、キャッチアップ・キャッチダウンという現象がコラムとして書かれています。

キャッチアップ・キャッチダウン(活用・実践ガイドより)

「出生後に、出生時の体格が小さい方のチャンネルにいた児が大きい方のチャンネルに移動したり(キャッチアップ)、大きい方のチャンネルにいた児が小さい方のチャンネルに移動したりすることがあります(キャッチダウン)。これらは、特に問題のない正常範囲の成長のバリエーションと考えられています」

続けて「もちろん、疾患が隠れている可能性もありますので、総合的な判断は必要ですが、正常範囲のバリエーションである可能性もあることは知っておくと良いと思います」とも書かれています。

伸びる速さは、年齢によってまったく違います

グラフの傾きが年齢とともにゆるやかになるのは、線の引き方の問題ではなく、実際に伸びる速さが変わるからです。同じガイドのコラムは、平均的な子どもについて次のように書いています。

1歳から2歳のあいだの1年で伸びる分は、0歳の1年の半分以下です。「去年より伸びが少ない気がする」と感じるのは自然なことで、曲線はもともとそういう形に引かれています。

ご両親の背丈も、読むときの材料になります

同じガイドには、両親の身長からおおよその見当をつける「予測身長」という考え方も紹介されています。男の子はご両親の身長の平均に6.5センチを足した値、女の子は平均から6.5センチを引いた値です。ただしガイド自身が「単純に両親の身長の平均値から導いた値のため、児のパーセンタイル値と多少違っても問題ありません」と注記しています。目安の目安、という位置づけです。

※ ここに挙げた数値は、いずれも専門職が発育を読むときの参考として書かれているものです。この数字とお子さんの伸びを引き算して自己判断する材料ではありません。気になったときは、次の項にある窓口で一緒に見てもらってください。

「小さめですね」と言われたとき、実際に確かめられていること

健診の場でその一言が出たとき、専門職の側が見ているのは、グラフ上の位置そのものではありません。活用・実践ガイドは、体重が少なめの子について、確かめることをこう書いています。

体質的に小食の場合について(活用・実践ガイドより)

「この場合には、発育曲線を用いて、その子どもなりの成長が認められるか病的なものかを観察する必要があります」

見ているのは、よその子と比べた位置ではなく、その子なりの成長が認められるかどうかです。

そして同じガイドは、体重増加について評価するとき「成長に個人差が大きい時期であり、発育曲線だけでなく総合的な判断が必要である」と、繰り返し断っています。グラフ1枚で決まることは何もない、ということです。

健診票のどこに、その一言が残るのか

健診票の様式を見ると、身体のことについて書き込まれる欄は、判定欄だけではありません。1歳6か月児健康診査票には、次の欄が並んでいます。

健診票の欄印刷されている選択肢と、そこから進む先
栄養良 ・ 要指導
「要指導」は、栄養相談や保健指導につなぐという意味の印です
診察所見
13 生活習慣上の問題
ア 小食 / イ 偏食 / ウ その他
小食・偏食は、様式にあらかじめ選択肢として刷られています。その場で思いつきで書かれるものではありません
判定1 異常なし / 2 既医療 / 3 要経過観察 / 4 要紹介(要精密・要治療)
「様子を見ましょう」は、多くの場合この3にあたります
子育て支援の
必要性の判定
1 特に問題なし / 2 保健師による支援が必要 / 3 その他の支援が必要
体のことと別に、家庭の側を支える必要があるかを見る欄が独立して置かれています

身長・体重のことで声をかけられた場合、多くは「栄養:要指導」「要経過観察」にあたります。これは判断を保留した印ではなく、期間を決めてもう一度確かめるための枠です。

3歳児健診には「( か月位)」という記入欄があります

3歳児健康診査票の判定欄は、「3 要経過観察( か月位)」という形で、期間を書き込む空欄が用意されています。当日、この欄を指しながら「何か月くらい見ますか」と聞くことができます。空欄のまま帰らずに済むと、次に何をすればよいかがその場で決まります。

※ 判定欄の様式は国が示しているものです。お住まいの市区町村が結果をどんな言い方で伝えるかは、自治体ごとに違います。

体重が増えていない、と言われたときに確かめること

幼児期の体重については、活用・実践ガイドが、保護者に伝えるべき内容としていくつかの点を挙げています。意外に思われるかもしれませんが、最初に書かれているのは体の作りの話です。

幼児は、3回の食事だけでは足りない作りをしています

「幼児は1日の活動量が多いために、成人に比べて体重1キログラムあたりに必要とするエネルギーや栄養素は多いです。しかし、消化機能が未発達なので、1日3度の食事だけでは必要量を満たすことが難しくなります。そのため1〜2回の間食を与え、不足分を補う必要があります」

おやつは、ごほうびや余分なものではなく、足りない分を補うための食事の一部として位置づけられています。

食べさせようとするほど、食べにくくなることがあります

同じガイドは、食事量が少ないときの関わり方についても書いています。これは、多くの保護者の方が自分を責めてしまう場面です。

問診票にも、そのための欄があります

こども家庭庁が示す問診票には、1歳6か月児健診では第20問3歳児健診では第15問として、まったく同じ設問が置かれています。

問診票の設問(1歳6か月児・3歳児 共通)

「偏食や小食など食事について心配なことがありますか。(いいえ・はい)」

この設問があるということは、そこに「はい」と書いてよいということです。書けば、栄養相談や保健指導につながる入口が開きます。当日その場で言い出しにくければ、事前に記入して持って行く形で伝えられます。

ちなみに、3歳児健診の問診票には第14問「よく噛んで食べる習慣はありますか」、1歳6か月児健診には第10問「スプーンを使って食事ができますか」という設問もあります。食べる量だけでなく、食べ方のほうも見られています。

食べられるものが少ない、という形で現れているとき

量が少ないのではなく、食べられるものの種類が限られているという形で現れることがあります。活用・実践ガイドは、この場合について次のように書いています。

感覚のことが背景にある場合(活用・実践ガイドより)

「感覚過敏を含むこだわりをもつ子どものなかには、偏食があり、体重増加不良がみられることがあります。この場合には、主治医や専門家に相談して、その子どもの特性に合わせた対応をすることが望まれます」

栄養の話と発達の相談が、ここでつながります。「好き嫌い」として片づけずに相談してよい、と国の資料の側に書かれています。

偏食そのものの見方と、家でできる具体的な進め方については、このサイトの「偏食」のページにまとめてあります。ここではこれ以上深追いせず、そちらに譲ります。

※ 食事の量や内容について、この記事は基準値や目標量を示しません。お子さんに必要な量は月齢・活動量・体格によって変わるため、健診の栄養相談や、かかりつけの小児科でご相談ください。

「様子を見ましょう」と言われた期間に、家で何を書いておくか

経時的に観察・記録することで初めて向きが見える、と資料が書いている以上、待っている期間にできるいちばん確実なことは、記録を残しておくことです。そして、その場所はすでに手元にあります。

母子健康手帳の各健診ページの下にある欄

1歳児健診・1歳6か月児健診などのページの下には、次の見出しの表が印刷されています。

「次の健康診査までの記録自宅などで測定した身長・体重も記入しましょう。)」

列は「年 月 日/年齢(月齢)/体重/身長/特記事項/施設名又は担当者名」。自宅で測った値を書いてよい、と手帳の側が書いています。

こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」も、保健医療従事者に向けて「家庭や保育所・幼稚園などで測定した身長・体重なども積極的に記入したりするよう伝えましょう」、そして「身長・体重などを身体発育曲線に記入すると、成長の様子がよくわかります。記載を続けることで、子どもの成長や健康状態の記録としてかけがえのないものになります」と書いています。

家で測るときに、そろえておくとよいこと

乳幼児身体発育調査で使われている「乳幼児身体発育調査必携」の計測方法には、測るときの注意がいくつも書かれています。国の調査のための手順なので家庭でそのまま行うものではありませんが、条件をそろえると値が比べやすくなるという考え方は同じです。

家庭では、同じ体重計・同じくらいの時刻・同じくらいの服装でそろえておくだけで十分です。大事なのは1回の正確さより、同じ条件の点がいくつも並ぶことです。

数字以外に書いておくと役に立つこと

母子健康手帳の「保護者の記録」のページには、「成長の様子、育児の心配、かかった病気、感想などを自由に記入しましょう」という欄があります。交付・活用の手引きは、この欄を積極的に使うよう勧めています。次の相談のときに、次のようなことが書いてあると話が早くなります。

活用・実践ガイドの第4章は、保育所での身体計測について「特に3〜5歳児は乳幼児健診と学校健診の間の年齢であり、保育所での身体計測は子どもの発育を見守る貴重な機会となります」と書いています。園で測ってもらった数字は、健診と健診のあいだを埋める点になります。

※ 母子健康手帳は、なくしたり汚したりしたときに再交付できることが、こども家庭庁の交付・活用の手引きに書かれています。記録が続かなくなったからといって、書き直す必要はありません。空欄のページは、あとから埋めても構いません。

次に測るのはいつか——健診と健診のあいだをどう埋めるか

「次の健診で見ましょう」と言われたとき、その次がいつなのかは、住んでいる区で決まっています。法令上必ず行われる健診は1歳6か月児健診と3歳児健診の二つで、そのあいだにはおよそ1年半の間隔があきます。

時期受ける場と、そこで測られるもの
1歳6か月児健診母子保健法第12条で市町村に義務づけられた健診。身体発育状況・栄養状態を含む11項目
新宿区は「計測、診察」、練馬区は内科健診に「身体計測」と明記
そのあいだ2歳児歯科健診や2歳6か月児歯科健診など、区が独自に置いている場(母子保健法第13条)。保育所・幼稚園に通っていれば、園での身体計測。そして自宅で測った値
3歳児健診同じく第12条の健診。項目は13個に増え、耳・鼻・咽頭が加わります
新宿区は「問診、計測、目の屈折検査、尿検査、診察、歯科健診……」
5歳児健診母子保健法第13条にもとづき、実施する自治体が広がっている健診。あるかどうかは自治体で違います
新宿区は満4歳6か月〜6歳未満で希望・予約制、内容は「集団遊び、問診、計測、診察、個別相談」

間隔があくのが心配なときは、待たなくてよい

次の健診まで待つ必要はありません。母子保健法 第10条は、市町村は幼児の保護者に対して育児に関し必要な保健指導を行い、または医師・歯科医師・助産師・保健師について保健指導を受けることを勧奨しなければならない、と定めています。第13条は、必要に応じて健康診査を行い、または受けることを勧奨しなければならない、としています。相談に応じることは、市町村の側の仕事として書かれているということです。

※ 予防接種で受診したときも計測してもらえるかは医療機関によります。受付で母子健康手帳を出しながら「体重も測っていただけますか」と一言添えると確実です。

医療につながるのはどんなときか、そして手帳の記録が効いてくる場面

健診票の判定欄の四番目は「要紹介(要精密・要治療)」です。この判定が付いた場合、その場で渡される紙には名前があります。

1歳6か月児・3歳児 健康診査 精密健康診査(判定相談)受診票

こども家庭庁の通知の別添7として様式が示されている書類です。発行番号・児童氏名・生年月日・保護者氏名・居住地に加えて、「有効期間 令和 年 月 日 から 月 日 まで」という欄があります。

市町村長(特別区長)から委託医師あてに出される依頼状の形をしていて、費用は市区町村の側で扱われる仕組みになっています。有効期間の欄があるので、受け取ったらまずそこに書かれている日付を確かめてください。

どこにかかることになるのか

身長・体重のことで進む先は、まず小児科です。健診票の様式を見ると、身体測定と診察所見は小児科の医師が記入する構成になっています。3歳児健康診査票にはこれに加えて眼科所見耳鼻咽喉科所見の欄が独立して置かれ、それぞれに別の判定欄と診察日・診査医名の欄があります。所見の種類ごとに、行き先が分かれるという設計です。

言われた内容どこへ、どんな形で進むか
身体の発育についてまず小児科。健診票の診察所見の一番目が「1 身体的発育異常」で、判定が「要紹介」なら精密健康診査(判定相談)受診票が交付されます
栄養・食事について「栄養:要指導」であれば、健診の場か、後日の栄養相談へ。医療ではなく保健指導の枠です
もう少し見たいとき「要経過観察」。3歳児健診では期間を書く欄があります。経過観察健診や電話相談などのフォローアップにつながります
すでにかかっているとき「既医療」。健診としては新たな紹介をせず、かかっている医療機関での相談・管理を続けます

手帳の記録が、あとでものを言う場面

こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」は、記録を残しておくことの意味を、具体的な場面で説明しています。

そして手引きは、そのすぐあとにこう続けています。「なお、子どもの発育には個人差があるので、発育の傾向や子どもの状態を総合的に見て、発育評価を行うことが重要です」。曲線は入口であって、結論ではない、ということが、国の資料の側にきちんと書き添えられています。

今日から、無理なくできること

  1. 母子健康手帳の発育曲線のページを開き、今日の値を点で書き入れる。グラフの見出しに、平成22年調査か令和5年調査かが刷られています
  2. 前回の健診の値も書き入れて、点を線でつなぐ。点が二つあれば、もう向きが見えます
  3. 次の健診までの記録の表に、日付と体重・身長を書く欄を作っておく。家で測った値も、園で測ってもらった値も、同じ表に書けます
  4. 判定欄に「要経過観察」と書かれていたら、期間の欄を確かめる。3歳児健診には「( か月位)」の欄があります。空欄なら、電話で聞いて構いません
  5. 心配なことがあるなら、次の健診を待たずに保健センターへ電話する。相談に応じることは、母子保健法で市町村の役割として定められています

曲線は、その子を採点するための紙ではありません。その子がどう伸びてきたかを、時間をかけて見せてくれる紙です。点が一つでは何も見えず、点が増えるほど読めるようになります。今日の一点も、そのうちの一つです。

出典

※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

母子健康手帳の曲線の、下のほうにいます。これは問題があるということですか。
グラフに引かれている線は、その年月齢の子どもを小さいほうから並べたときの順位を表しています。こども家庭庁の令和5年乳幼児身体発育調査の用語の解説は、「3パーセンタイル未満のものは全体の3%、97パーセンタイルを超えるものは3%いるはずであり、両者の間には94%のものが含まれている」と定義しています。つまりどの年月齢にも、必ず一定の割合の子がそこにいるという前提で引かれた線です。母子健康手帳の身長体重曲線のページにも「「ふつう」に入らないからといってただちに異常というわけではありませんが、心配な場合は医師等に相談しましょう」と印刷されています。専門職が見ているのは位置そのものではなく、その子なりの伸びが続いているかです。
あの曲線は、いつ・誰を測って作られたものですか。
厚生労働省とこども家庭庁が10年周期で行っている「乳幼児身体発育調査」の結果です。目的は「我が国の乳幼児の身体発育値及び発育曲線を明らかにして、乳幼児保健指導の改善に資すること」とされています。直近は令和5年9月に実施され、令和6年12月25日に公表されました。一般調査で集計されたのは6,892人、病院調査で4,302人です。母子健康手帳の府令様式(令和8年4月1日施行)のグラフには「乳児身体発育曲線(令和5年調査)」と刷られ、出典として「こども家庭庁令和5年乳幼児身体発育調査報告」と書かれています。
健診で身長と体重を測るのは、決まっているのですか。
はい。母子保健法施行規則 第2条が、1歳6か月児健診で行う項目11個の一号に「身体発育状況」、二号に「栄養状態」を挙げています。3歳児健診の13項目も同じ二つから始まります。その上位にある母子保健法 第12条は、この二つの健診を市町村が「行わなければならない」と定めています。実際の区の案内でも、たとえば新宿区は3〜4か月児から5歳児まですべての健診の内容に「計測」を入れており、練馬区は1歳6か月児健診の内科健診を「内科健診、身体計測、診察、保健指導」と説明しています。
自宅で測った身長・体重を、母子健康手帳に書いてもよいのでしょうか。
書いてよい、と手帳の側に書かれています。各健診ページの下にある表の見出しが「次の健康診査までの記録(自宅などで測定した身長・体重も記入しましょう。)」です。こども家庭庁の「母子健康手帳の交付・活用の手引き」も「家庭や保育所・幼稚園などで測定した身長・体重なども積極的に記入したりするよう伝えましょう」と書いています。家庭では同じ体重計・同じくらいの時刻・同じくらいの服装でそろえておけば十分です。1回の正確さより、同じ条件の点がいくつも並ぶことのほうが役に立ちます。
体重が増えないと言われました。まず何をすればよいですか。
国立保健医療科学院の「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」は、幼児について「消化機能が未発達なので、1日3度の食事だけでは必要量を満たすことが難しくなります。そのため1〜2回の間食を与え、不足分を補う必要があります」と書いています。同時に「食べることを強制するような声かけをしたりすると、かえって食べる意欲を減じることもあります」とも書かれています。まずは食事の時間に空腹で向かえるよう、睡眠・遊び・食事のリズムを整えること、そして健診の栄養相談で相談することです。問診票には「偏食や小食など食事について心配なことがありますか」という設問があるので、そこに「はい」と書けば相談につながります。
偏食が強くて、食べられるものが少ないのですが。
活用・実践ガイドには「感覚過敏を含むこだわりをもつ子どものなかには、偏食があり、体重増加不良がみられることがあります。この場合には、主治医や専門家に相談して、その子どもの特性に合わせた対応をすることが望まれます」と書かれています。栄養の話と発達の相談は、ここでつながります。「好き嫌い」として片づけずに相談してよい、ということです。偏食そのものの見方と家での進め方は、当サイトの偏食のページにまとめてあります。
次の健診まで待つように言われましたが、それまで何もできませんか。
待つ必要はありません。母子保健法 第10条は、市町村が幼児の保護者に対して育児に関し必要な保健指導を行い、または保健指導を受けることを勧奨しなければならないと定めています。第13条も、必要に応じて健康診査を行い、または受けることを勧奨しなければならないとしています。相談に応じることは市町村の側の仕事として条文に書かれているということです。保健センター・保健相談所に電話して構いません。また、予防接種などでかかりつけの小児科を受診する機会に母子健康手帳を出せば、そのときの体重・身長を書き足してもらえます。
「要経過観察」と書かれていました。どのくらい見るのでしょうか。
3歳児健康診査票の判定欄は「3 要経過観察( か月位)」という形になっていて、期間を書き込む空欄が用意されています。その場で「何か月くらい見ますか」と尋ねられる欄です。空欄のまま渡されていたら、あとから保健センターに電話して確かめて構いません。なお「要経過観察」は判断を保留した印ではなく、期間を決めてもう一度確かめるための枠です。判定欄には「1 異常なし/2 既医療/3 要経過観察/4 要紹介(要精密・要治療)」の四つしか選択肢がありません。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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