根拠は、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「運営基準」)第26条です。児童発達支援の事業所を対象に、次のように定められています。
「評価をすること」自体だけでなく、「評価の結果と、それを受けた改善の内容を、保護者に示し、かつ広く公表すること」まで第7項ではっきり義務づけられている点が重要です。任意の取り組みではありません。
この記事は2026年9月8日時点でe-Gov法令検索から取得した条文にもとづいています。運営基準は改正されることがあります。
条文にはさりげなく3つの言葉が出てきますが、意味は異なります。こども家庭庁の児童発達支援ガイドライン(令和6年7月改訂)は、この関係を次のように整理しています。
| 評価 | 誰が、何を評価するか |
|---|---|
| 従業者評価 | 事業所の職員が「従業者向け児童発達支援評価表」(別紙1)を使って、事業所の支援を自己点検する |
| 保護者評価 | 通所給付決定保護者が「保護者向け児童発達支援評価表」(別紙2)を使って、事業所の支援を評価する |
| 自己評価(事業所全体の) | 従業者評価と保護者評価の結果を踏まえ、事業所全体として行う評価。第6項が「自己評価」と呼んでいるのはこちらを指す |
つまり運営基準が求めているのは、「事業所が自分たちだけで採点する」ことではありません。職員自身の評価と、利用している保護者という第三者の視点の両方を踏まえたうえで、事業所全体としての強みと弱みを見つけ、改善につなげる——という一連の手順です。
ガイドラインは、「『はい』『いいえ』の集計結果を公表することが趣旨ではなく」、全職員による共通理解のもとで事業所の強み・弱みを分析し、改善につなげていく過程そのものが重要だと注記しています。
運営基準第26条第6項は、自己評価・保護者評価で確認すべき事項を、号(一〜七)で列挙しています。そのまま「事業所を見るときの角度」になります。
設備の充実度や送迎の有無だけでなく、職員の勤務体制や資質向上の取り組み、地域や他機関との連携、緊急時・災害時の備えまで、評価の対象として条文に明記されている点は、意外と知られていません。
ここまでは条文上「指定児童発達支援事業者」の話として書かれています。放課後等デイサービスの事業所にも同じ義務があるのか——運営基準を辿ると、答えが出てきます。
第71条により、自己評価・保護者評価・公表を定めた第26条第5項から第7項までが、放課後等デイサービスの事業にもそのまま準用されます。読み替えられるのは「児童発達支援計画」という言葉だけで、評価の仕組みそのものに違いはありません。
実際、放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月改訂)にも、児童発達支援ガイドラインと同じ構成の章があり、「従業者向け放課後等デイサービス評価表」(別紙1)と「保護者向け放課後等デイサービス評価表」(別紙2)という、サービスごとに名前の違う様式が示されています。評価項目の7つの号は、児童発達支援とまったく同じです。
つまり、児童発達支援と放課後等デイサービスの両方を行っている事業所は、それぞれのサービスについて別々に自己評価・保護者評価・公表を行っていることになります。
保育所等訪問支援(保育所や学校などを訪問して支援を行うサービス)では、事情が少し異なります。運営基準第79条が第26条を準用する際、評価に関する部分だけ読み替えが加えられているためです。
こども家庭庁の資料は、これを次のように説明しています。
児童発達支援・放課後等デイサービスの「利用者の心身の状況等に応じた総合的な支援」を求める第4項は、訪問先の施設で支援そのものを完結させるわけではない保育所等訪問支援には性質上なじまないため除かれていますが、評価と公表の義務(第5項〜第7項相当)は、むしろ訪問先施設評価が加わる分、対象が広くなっています。
第7項をもう一度見ると、義務は1つではなく2つ重なっています。
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 保護者に示す | 利用している保護者に対して、直接見える形で結果を伝える |
| インターネットの利用その他の方法により公表する | 利用していない人も含め、広く見られる状態にする |
こども家庭庁のガイドラインは、それぞれの具体的な方法まで例示しています。
公表する資料の様式もガイドラインが具体的に示しています。「事業所における自己評価総括表(公表)」(別紙3)と「保護者からの事業所評価の集計結果(公表)」(別紙4)を含む「事業所における自己評価結果(公表)」(別紙5)です。
この別紙1〜5という様式そのものは、運営基準の条文には出てきません。条文が義務づけているのは「自己評価・保護者評価を行い、その結果と改善内容を保護者に示し、公表すること」であり、様式はこども家庭庁のガイドラインが実務のために示した参考の形です。
自己評価とは別に、児童福祉法にはもう1つ、事業所の情報公表を義務づける条文があります。混同しやすいので、分けて整理します。
つまりこちらは、事業所が都道府県に情報を報告し、都道府県が公表するというしくみです。事業所自身がホームページ等で公表する第26条の自己評価・保護者評価とは、根拠となる法律も、公表の主体も異なります。
| 自己評価・保護者評価の公表(運営基準第26条) | |
|---|---|
| 公表するのは誰 | 事業所自身 |
| 何を | 自己評価・保護者評価の結果と改善の内容 |
| 頻度 | おおむね1年に1回以上 |
| 情報公表対象支援情報の公表(児童福祉法第33条の18) | |
|---|---|
| 公表するのは誰 | 都道府県(事業所は都道府県に報告する) |
| 何を | 事業所の運営状況に関する情報(内閣府令で定める内容) |
| 頻度 | 提供開始時、その他内閣府令で定めるとき |
都道府県が公表する情報公表対象支援情報は、実務上、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する「障害福祉サービス等情報公表システム」(WAM NET)で検索・閲覧できるようになっています。自己評価・保護者評価の公表の有無や公表先のURLも、この検索システムの項目として案内されています。
公表資料そのものより先に、まず「見るポイント」を4つに絞ると、比較がしやすくなります。
特に4つ目は見落とされがちです。第7項が公表を求めているのは評価の結果だけでなく、「前項に規定する改善の内容」——つまり評価を受けてどう変えたか、まで含まれています。
「自己評価と保護者アンケートの結果は、どこで見られますか」——これは特別な質問ではなく、運営基準で公表が義務づけられている以上、当然の質問です。答えに詰まったり、はぐらかされたりする場合は、率直に理由を尋ねてかまいません。
公表が見当たらない事業所を見つけても、すぐに「不誠実だ」と決めつける必要はありません。評価と公表のサイクルの途中で、たまたま更新前の時期にあたっている可能性もあります。
一方で、義務であることに変わりはありません。運営基準は「おおむね1年に1回以上」と回数の目安を示しているので、最後の更新から1年以上が経っていれば、更新時期について尋ねる根拠になります。
運営基準には、自己評価の結果が悪かった場合の罰則は定められていません。評価を行わない、または公表しないこと自体が、都道府県による指導の対象になり得るという構造です。「評価の点数が低い=問題のある事業所」ではなく、「評価と改善のサイクルを回し、それを見せているかどうか」が公表制度の本来の趣旨です。
また、第三者による外部評価(事業所とは無関係の第三者機関による評価)については、ガイドラインは「可能な限り……導入して、事業運営の一層の改善を図ることが必要」と努力を促していますが、自己評価・保護者評価とは違い、実施は義務ではありません。受けていないこと自体は基準違反にはなりません。
自己評価・保護者評価を公表する義務そのものは、全国どこの事業所でも共通です(運営基準は全国一律の内閣府令)。ただし、都道府県が運営する情報公表システムの使い勝手や、市区町村の窓口が案内する内容には差があります。
この記事で確認できたのは、法律・省令が何を義務づけているかまでです。実際にどこまで探しやすく公表されているかは、事業所によって、また時期によって差があります。見つからない場合は、事業所に直接、あるいはお住まいの市区町村の障害児福祉の窓口にお確かめください。
※上記の出典は2026年9月8日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
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