条文の構造
児童福祉法 第21条の5の15 第3項(柱書)
都道府県知事は、第一項の申請があつた場合において、
次の各号のいずれかに該当するときは、指定障害児通所支援事業者の指定をしてはならない。
「してはならない」——裁量の余地なく、指定できません。該当すれば、ほかがどれだけ整っていても通りません。
以下、条文の号の順に整理します。
① 申請者が都道府県の条例で定める者でないとき(第1号)
第1号
申請者が都道府県の条例で定める者でないとき。
誰が申請できるかそのものが、都道府県の条例で定められています。
🔴 ここは自治体に確認が必要です
法律は「都道府県の条例で定める者」としか書いていません。
法人格の要否や種類は、条例を見なければわかりません。指定基準の3層でいえば、
省令だけを読んでも出てこない部分です(→
指定基準の3層構造)。
いちばん最初に確認しておくべき項目です。
② 人員基準を満たしていないとき(第2号)
第2号
当該申請に係る障害児通所支援事業所の
従業者の知識及び技能並びに人員が、
第21条の5の19第1項の都道府県の条例で定める基準を満たしていないとき。
人数だけでなく「知識及び技能」も条文に書かれています。資格要件が定められている職種については、資格の確認が必要になります。
人員基準の中身は人員に関する基準にまとめています。
③ 適正な運営ができないと認められるとき(第3号)
第3号
申請者が、第21条の5の19第2項の都道府県の条例で定める
指定通所支援の事業の設備及び運営に関する基準に従つて適正な障害児通所支援事業の運営をすることができないと認められるとき。
第2号が人員、第3号が設備及び運営です。
第3号は「認められるとき」という書き方で、基準に形式的に当てはまるかだけでなく、実際に適正な運営ができるかが判断されます。
④ 拘禁刑以上の刑(第4号)
第4号
申請者が
拘禁刑以上の刑に処せられ、
その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
罪名を問いません。執行を終わるまで、または執行を受けることがなくなるまでが対象期間です。
⑤ 保健医療・福祉関係法令の罰金刑(第5号)
第5号
申請者が、
この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるものの規定により
罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
罰金でも欠格になります。対象となる法律は政令で定められたものに限られます。
🔴 ⑤の2 労働に関する法律の罰金刑(第5号の2)
ここが、いちばん見落とされやすい項目です。
第5号の2
申請者が、
労働に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより
罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
福祉の法令だけの話ではありません
労働に関する法律——賃金や労働時間、安全衛生などに関する法令です。
福祉事業の経験がなくても、
他業種で労務に関する罰金刑を受けていれば欠格事由に当たりうるということです。
対象となる法律は
政令で特定されます。心当たりがある場合は、
申請の準備を始める前に所管自治体に確認してください。
🔴 ⑥ 指定取消しから5年——役員等にも及びます(第6号)
第6号(要旨)
申請者が、第21条の5の24第1項又は第33条の18第6項の規定により
指定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者であるとき。
さらに条文は、法人の場合と法人でない場合に分けて範囲を広げています。
| 申請者 | 含まれる人 |
| 法人の場合 | 取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があつた日前60日以内に、当該法人の役員又はその障害児通所支援事業所を管理する者その他の政令で定める使用人(=役員等)であつた者で、取消しの日から5年を経過しないもの |
| 法人でない場合 | 当該通知があつた日前60日以内に当該者の管理者であつた者で、取消しの日から5年を経過しないもの |
読み落としやすい2点
①「通知があつた日前60日以内」——処分の通知の前に辞めていても、
60日以内に役員等だった人は含まれます。
②「役員等」には管理者と政令で定める使用人が含まれます。登記上の役員だけではありません。
新しく法人を立てる場合でも、
役員に就く方の経歴を確認しておく必要があります。
なお条文にはただし書きがあり、取消しの処分の理由となった事実およびその発生を防止するための業務管理体制の整備についての取組の状況などを勘案して、一定の場合を除く旨が定められています。個別の判断は所管自治体にご確認ください。
確認しておく順番
- 申請できる者にあたるかを確認する(第1号)——都道府県の条例を見ます。ここが最初です。
- 役員に就く方の経歴を確認する(第4号〜第6号)——刑事罰の有無、過去に指定取消しを受けた法人の役員等でなかったか。60日以内という範囲に注意。
- 労務関係の処分歴を確認する(第5号の2)——他業種での経歴も含めて。
- 人員・設備・運営の基準を整える(第2号・第3号)——ここは省令と条例。
順番が大事です
第1号と第4号〜第6号は
人と法人の属性の問題で、
あとから整えることができません。
物件を探したり人を集めたりする前に、
先に確認しておくほうが安全です。
※本記事は条文の要旨を整理したものです。条文には各号に細かい括弧書きやただし書きがあります。実際の該当性の判断は、必ず所管自治体にご確認ください。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
どんな法人でも申請できますか?
第21条の5の15第3項第1号は、申請者が都道府県の条例で定める者でないときは指定してはならないと定めています。誰が申請できるかは条例で決まります。省令を読んでも出てきません。いちばん最初に、所管自治体の条例をご確認ください。
福祉と関係ない罰金でも問題になりますか?
なる場合があります。第5号の2は「労働に関する法律の規定であつて政令で定めるもの」による罰金の刑を欠格事由としています。福祉事業の経験がなくても、他業種で労務に関する罰金刑を受けていれば該当しうるということです。対象法律は政令で特定されます。
過去に指定を取り消された事業所の役員でした
第6号の対象になる可能性があります。取消しの日から5年を経過しない者が対象で、法人の場合は取消し処分の通知があった日前60日以内に役員等であった者も含まれます。処分の前に辞めていても含まれる点にご注意ください。ただし条文にはただし書きがあります。所管自治体にご確認ください。
「役員等」には誰が入りますか?
条文は役員のほか、その障害児通所支援事業所を管理する者、その他の政令で定める使用人を「役員等」としています。登記上の役員だけではありません。
どの順番で確認すればいいですか?
人と法人の属性(第1号・第4号〜第6号)を先に確認してください。これらはあとから整えることができません。人員・設備・運営(第2号・第3号)は、そのあとで整えられます。
この記事について:本記事は、障害児通所支援の指定申請に関する全国共通の枠組みを、法律・政令・省令の条文にもとづいて整理したものです。指定の権限は都道府県知事等にあり、具体的な基準は都道府県・指定都市・中核市の条例で定められます。条例には国の基準を「参酌」して独自に定められる部分があり、申請の様式・添付書類・事前協議の要否・受付時期は自治体ごとに異なります。実際の手続きは、必ず所管の自治体の担当課にご確認ください。制度は改正されます。本記事の確認日をご確認のうえ、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
この記事について
指定申請の道しるべは、東京都新宿区で児童発達支援事業所を運営する株式会社士心が、法令の条文を出典として明記しながらまとめている情報です。自社が指定申請の実務に向き合う中で調べたことを、同じ立場の方に開いています。
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