りんごの棚は、すべての子が本を楽しむための場所
杉並区立図書館は、バリアフリー図書コーナーとりんごの棚に、読む人にやさしい工夫をした本があると案内しています。りんごの棚は、すべての子どもが本を楽しめる場所で、どなたでも使えるという説明です。診断名がある子だけの場所と考えず、読むことに困りごとがある場合や、ふだんと違う本を見たい場合に、どんな資料があるか尋ねられます。
一方、棚があることと、特定の本がその日に確実に借りられることは別です。在庫や貸出中かどうか、利用できる場所や方法は図書館に確認してください。このページは蔵書の確保や貸出を約束するものではありません。また、図書館の資料は、子どもの発達を検査したり、特定の訓練効果を判定したりするためのものとして紹介するのではなく、本を楽しむ選択肢として考えます。
公式案内で確認できる本の違い
区立図書館のページは、LLブック、点字付き絵本、文字の大きい本、布絵本を紹介しています。LLブックはやさしい言葉や写真、絵、ピクトグラムを使う本、文字の大きい本は通常より文字を大きく太くした本という説明です。名前だけで難しそうと感じたら、実際の資料を見ながら違いを尋ねる方法があります。どの形式なら本人に合うかを、診断名だけで決める必要はありません。
点字付き絵本は、目が見える人も見えない人も読める本として、布絵本は布で作られ手触りなどを楽しめる本として紹介されています。杉並区の案内では布絵本は貸出できないと明記されています。布絵本を家に持ち帰れるという前提で子どもと約束しないようにしましょう。館内での使い方や、資料を見たいときの相談方法は、利用する図書館へ確かめてください。
「読めない」を、困る場面に分けてみる
相談前に書くメモは、本人の能力を評価する一覧にしなくても構いません。「どの本で」「何をしていたか」「どこが難しそうだったか」を分ける方法があります。たとえば、写真のページを見ていた、文字が多いページは閉じた、厚いページならめくっていた、といった実際の様子です。見たことと、保護者がそう感じた理由を別にしておくと、質問を具体的にできます。
「年齢に合った本が読めない」とだけ伝えるより、「長い文章を続けて読むより、写真を見ながら話したいようです」と希望を添える方法があります。ただし、本人の気持ちを大人が断定しないようにします。まだ分からないことは、実際に見比べながら考えるための質問にしておきましょう。図書館へは医学的な判断を求めるのではなく、資料の形式や探し方を尋ねることができます。
最初の一冊を、難易度だけで選ばない
本を選ぶときには、文字の大きさだけでなく、写真や絵の見せ方、ページの扱い、本人が関心を持つ題材などを並べて見る方法があります。これは図書館の公式な選書基準ではなく、家庭が相談のために用意する観点です。全部の条件を満たす本を最初から見つける必要はありません。「今回は写真の多いものを見たい」など、一つの問いから始めても構いません。
同じ形式の本でも内容や作りは異なります。LLブックならどれもやさしい、文字が大きければ誰でも読めると決めず、本人がどこを見ているかを確かめます。読み聞かせで大人が全部説明する場合も、本人が一人で手に取る場合も、楽しみ方を一つに限定しない方法があります。最後のページまで読んだかだけで、選んだ本が合っていたかを判定する必要はありません。
図書館へ行く前に尋ねたいこと
杉並区立図書館の案内には、りんごの棚がある図書館の一覧があります。中央、永福、柿木、高円寺、宮前、成田、西荻、阿佐谷、南荻窪、下井草、高井戸、方南、今川の各図書館が掲載されています。自分が利用しやすい館を選び、実際の資料や利用方法を確認してください。全館の展示内容や所蔵が同じであるという説明ではありません。
問い合わせの言葉は、「りんごの棚の本を見たいです」「写真や絵の多い本を子どもと選びたいです」「布絵本はどのように見られますか」など、目的を短く伝える形にできます。必要な窓口や利用方法が分からない場合は、そのことも尋ねてください。本人の診断歴や通っている施設名を最初から全て伝える必要があると決めず、資料を探すために何が必要かを確認します。
子どもが本を選べる余地を残す
大人が役に立つと思った本でも、本人が別の棚を見たい日があります。家庭の予定としては、「この形式を一度見てみる」という目的と、「本人が選ぶ」という余地を両方置く方法があります。本人の関心が本の中身ではなく、紙や布の手触りに向いた場合も、それだけで失敗とまとめず、どのように楽しんだかを記録できます。資料の扱い方については図書館の案内に従ってください。
一度に多くの本を見せると迷うように見える場合は、どんな選び方が本人に合うかを支援先へ相談する話題にできます。ただし、選択肢を確実に二冊にするなどの訓練手順を、この記事から一律に指定しません。親子が実際に困ったことを伝え、資料の形式や見せ方を考えるための提案です。本人が言葉で感想を言わなくても、見ていたページや手を伸ばした本など、見たことを伝える準備はできます。
家へ持ち帰った後の過ごし方を考える
貸出できる本を選んだ場合は、返却期限や扱い方を図書館の案内で確認します。布絵本のように貸出できない資料は、館内での楽しみ方を相談してください。どちらの場合も、借りたら毎日何分読むと約束する必要はありません。家庭では、いつどこに置くと本人が手に取りやすいか、大人と一緒に見る時間をどう作るかなどを、無理のない範囲で考えられます。
読んだ内容を質問して正答数を測ることだけが、本との関わり方ではありません。好きな写真を眺める、同じページへ戻る、大人と短い話をするという過ごし方も、家庭の楽しみ方として考えられます。学校の学習や個別の支援の目標がある場合は、その担当者に確認してください。図書館の本の紹介を、そのまま療育計画や学力の評価へ置き換えないことが大切です。
次に探す本のために、一つだけ記録する
本を返す前に、本人が見ていたページ、扱いやすかった作り、次に見たい題材のうち一つを残す方法があります。細かな読書記録を毎回完成させる必要はありません。「写真の多い本をもう少し見たい」「大きい文字で短い話を探したい」など、次の質問につながれば十分です。図書館で尋ねるときに、前回の資料名が分かると話が具体的になります。
読み方への心配が続く場合は、図書館で資料を探すことと、教育や発達の相談を分けて進められます。りんごの棚を使うことで確実に読めるようになると約束するものではありません。本人が本に触れる選択肢を増やし、家族がどんな資料を探せばよいかを知るために、公式案内と窓口を使ってみましょう。本人の関心を確かめながら、今の楽しみ方を見つけるための相談ができます。
図書館で尋ねるための会話例
窓口では、「子どもとりんごの棚の本を見てみたいです。写真が多い本や、大きな文字の本はどこで探せますか」と始める方法があります。布絵本に関心があるなら、「貸出できないと案内で読みました。館内で見るときはどうしたらよいですか」と質問できます。読み方についての診断を求めるのではなく、実際に資料へたどり着くための案内を尋ねる会話です。
本人がその場で選べない場合も、保護者が見つけた候補の資料名や形式を、次に相談するために残せます。別の図書館へ行くときは、同じ本があると思い込まず、資料名を伝えて確認してください。手に取らなかった一冊を、その形式の本は全て合わないという結論に広げず、題材やページの作りを変えて探す余地があります。読み進める速さをほかの子と比べるためではなく、本人が楽しむきっかけを知るための小さな記録として使えます。
本の形式と、本人の好きな題を組み合わせる
図書館へ相談するとき、形式だけでなく本人が関心を持つ題材も伝えられます。文字が大きい本を探したい、乗り物の写真があるものを見たい、といった二つの希望を分けて伝える方法です。希望が多い場合も、その通りの資料が確実にあると約束するのではなく、どんな候補があるかを窓口で尋ねます。手に取った資料を見て、別の形式へ広げて探す余地もあります。
家族の希望と本人が選んだものが違う日は、両方をそのまま記録できます。読みやすさを大人だけで決めず、本人が見たページや手に取る様子を、次に探す情報として残します。資料を探すために通っている学校や支援先と情報を共有する場合も、どの情報が必要かを確認してから渡す方法があります。図書館の利用を、本人が困っていることを公に説明する場にしなければならないわけではありません。

