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📖 用語・基礎知識

障害児福祉計画とは——市区町村が「量の見込み」を決める3年計画

最終更新:2026年9月8日
「障害児福祉計画」という言葉を、自治体の案内で見かけたことはありませんか。これは、お住まいの市区町村と都道府県が、児童福祉法にもとづいて作る計画です。個別支援計画やセルフプラン(受給者証の申請で作る計画)とは、別のものです。

結論から言うと、この計画が決めているのは「児童発達支援や放課後等デイサービスが、この先どれだけ必要になるか」という見込み量です。つまり——お住まいの地域で事業所が足りているとされているかは、この計画に数字として書かれています。

この記事では、児童福祉法の条文(第33条の20〜第33条の22あたり)と国の基本指針、実際の自治体資料を確かめながら、何が決まっているのか保護者はどう使えるのかを整理します。自治体ごとに名前も期間も違うため、断定できない点は「違います」と書きます。

結論から——決めているのは「必要な見込み量」です

障害児福祉計画は、児童福祉法という一つの法律の中に、市町村向けと都道府県向けの2種類が定められています。まず、いちばん基本になる条文を確かめます。

児童福祉法 第33条の20第1項
市町村は、基本指針に即して、障害児通所支援及び障害児相談支援の提供体制の確保その他障害児通所支援及び障害児相談支援の円滑な実施に関する計画(以下「市町村障害児福祉計画」という。)を定めるものとする。

条文が使っている言葉は「提供体制の確保」です。すこし硬い言い方ですが、かみくだくと「児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援・居宅訪問型児童発達支援・障害児相談支援が、この地域でちゃんと使えるようにする」ための計画ということです。

児童福祉法 第33条の20第2項
市町村障害児福祉計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 障害児通所支援及び障害児相談支援の提供体制の確保に係る目標に関する事項
二 各年度における指定通所支援又は指定障害児相談支援の種類ごとの必要な見込量

第2号にある「必要な見込量」——これが、この計画のいちばんの中身です。「児童発達支援は、来年度は何人日ぶん必要になる見込みか」を、サービスの種類ごとに、年度ごとに数字で書く。それが市町村障害児福祉計画の役目です。

※「見込量」という言葉には送り仮名の「り」が付きません。条文どおりの表記です。

市町村が「定めるもの」と「努めるもの」——義務の強さが違います

条文をよく見ると、同じ「定める」でも、語尾の強さが2段階に分かれていることに気づきます。ここを読み分けられると、計画書のどこが確実で、どこが自治体の裁量かが見えてきます。

条文の言葉意味
「定めるものとする」(第2項)目標に関する事項と、必要な見込量。これは必ず書く項目です
「定めるよう努めるものとする」(第3項)見込量を確保するための方策、医療機関・教育機関等との連携。こちらは努力義務——書いてある自治体と、薄い自治体があり得ます
児童福祉法 第33条の20第3項
市町村障害児福祉計画においては、前項各号に掲げるもののほか、次に掲げる事項について定めるよう努めるものとする。
一 前項第二号の指定通所支援又は指定障害児相談支援の種類ごとの必要な見込量の確保のための方策
二 前項第二号の指定通所支援又は指定障害児相談支援の提供体制の確保に係る医療機関、教育機関その他の関係機関との連携に関する事項

つまり「見込量の数字」は全国どの市町村の計画にも必ず載っていますが、「その数字をどう実現するか」「病院や学校とどう連携するか」まで具体的に書き込むかどうかは、自治体によって差があります。

児童福祉法 第33条の20第4項
市町村障害児福祉計画は、当該市町村の区域における障害児の数及びその障害の状況を勘案して作成されなければならない。

※第5項は、市町村が「障害児の心身の状況、その置かれている環境その他の事情を正確に把握する」ことと、国が公表した分析結果(第33条の23の2第1項)を勘案して計画を作ることを、努力義務として定めています。

都道府県は、広域の見地から別の計画を作ります

市町村の計画とは別に、都道府県も「都道府県障害児福祉計画」を作ります。同じ児童福祉法の中に、別の条文として置かれています。

児童福祉法 第33条の22第1項
都道府県は、基本指針に即して、市町村障害児福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、障害児通所支援等の提供体制の確保その他障害児通所支援等の円滑な実施に関する計画(以下「都道府県障害児福祉計画」という。)を定めるものとする。

都道府県の計画で必ず定める事項(第2項)は、市町村の計画に無いものが一つ増えます。

定める事項
第1号障害児通所支援等の提供体制の確保に係る目標に関する事項
第2号都道府県が定める区域ごとの、各年度の指定通所支援・指定障害児相談支援の種類ごとの必要な見込量
第3号各年度の指定障害児入所施設等の必要入所定員総数(=入所施設は都道府県の管轄)

第3号の「指定障害児入所施設等の必要入所定員総数」が、都道府県の計画にしか出てこない事項です。児童発達支援や放課後等デイサービスのような通所支援の指定は都道府県知事が行いますが、計画に必要見込量として数字を積むのは市町村(区域ごとに都道府県がまとめる)です。一方、入所施設は利用が広域にまたがりやすいため、必要な定員総数そのものを都道府県が計画に書きます。

※都道府県障害児福祉計画にも、市町村と同じ構造の努力義務(方策・質の向上・連携)が第3項に定められています。条文にはありませんが、実務上は都道府県が各市町村の見込量を積み上げて広域の計画にする、という関係になります。

国の基本指針——何が書かれているか

市町村も都道府県も、計画は自由には作れません。「基本指針に即して」(第33条の20第1項・第33条の22第1項)作ることが条文で決められています。この基本指針を定めているのは、内閣総理大臣です。

児童福祉法 第33条の19第1項
内閣総理大臣は、障害児通所支援、障害児入所支援及び障害児相談支援(以下この節において「障害児通所支援等」という。)の提供体制を整備し、障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。

実際には、こども家庭庁と厚生労働省の連名の告示という形で公表されます。現在効力を持つのは「令和5年こども家庭庁・厚生労働省告示第1号」で、令和6年度から令和8年度までの3年間(第7期障害福祉計画・第3期障害児福祉計画)を対象にしています。

基本指針が定める4つの柱(第33条の19第2項)

この基本指針の中に「障害児支援の提供体制の整備等」という章があり、令和8年度末までの数値目標が示されています。東京都福祉局が公表している概要から、主なものを引きます。

国が示す目標(令和8年度末まで)内容
児童発達支援センターの設置各市町村又は各圏域に少なくとも1カ所以上設置することを基本とする
インクルージョンの推進体制全ての市町村で、障害児の地域社会への参加・包容を推進する体制を構築することを基本とする
難聴児支援各都道府県が難聴児支援を総合的に推進する計画を策定し、中核的機能を果たす体制を確保することを基本とする
重症心身障害児への対応主に重症心身障害児を支援する児発・放デイ事業所を、各市町村又は各圏域に少なくとも1カ所以上確保することを基本とする
医療的ケア児支援センター各都道府県が設置し、コーディネーターを配置することを基本とする
18歳以降の移行各都道府県・指定都市が、入所児童の移行調整に係る協議の場を設置することを基本とする

※これらは国が示す「基本とする」水準であり、達成を法律で義務づけた数値ではありません。実際にどこまで進んでいるかは、お住まいの市区町村・都道府県の計画(進捗の点検資料)で確認する事柄です。また、この告示は令和8年度末までを対象にしており、次期の基本指針は改めて示されます。(2026-09-08時点の情報です。)

3年ごとに作り直され、途中でも見直されます

「3年ごと」という周期は、法律の条文そのものに「3年」と書かれているわけではありません。国の基本指針が対象期間を3年で区切ってきた、これまでの運用の積み重ねです。厚生労働省の資料でも、平成18〜20年度を第1期として、3年ごとに期が進んできたことが確認できます。

児童福祉法 第33条の21
市町村は、定期的に、前条第2項各号に掲げる事項(市町村障害児福祉計画に同条第3項各号に掲げる事項を定める場合にあつては、当該各号に掲げる事項を含む。)について、調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときは、当該市町村障害児福祉計画を変更することその他の必要な措置を講ずるものとする。

つまり3年の計画期間の途中でも、見込量と実際の利用状況にずれが大きければ、計画を見直す仕組みが条文にあります。都道府県についても、同じ内容が第33条の23に定められています。

児童福祉法 第33条の23
都道府県は、定期的に、第三十三条の二十二第二項各号に掲げる事項(略)について、調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときは、当該都道府県障害児福祉計画を変更することその他の必要な措置を講ずるものとする。

※「定期的に」の間隔(年1回か、それ以外か)は、この条文には書かれていません。実際の点検の頻度は、自治体の自立支援協議会などでの報告資料でご確認ください。

保護者は、この計画をどう使えるか

ここまでは条文の話でした。では、保護者にとって、この計画は実際に何の役に立つのでしょうか。

使い道は一つ——「自分の町の見込量」を数字で読めること
障害児福祉計画は、たいていお住まいの市区町村のホームページで、PDFとして公開されています。「(市区町村名) 障害児福祉計画」または「(市区町村名) 障害福祉計画」で検索すると見つかることが多いです。そこに、児童発達支援や放課後等デイサービスの「見込量」の表が載っています。

実例を見てみます。高知市が公表しているパブリックコメント資料には、次のような見込量の表が載っていました(令和6〜8年度・障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画)。

サービス令和8年度の見込量
児童発達支援2,986 人日/月・利用者数 446人/月
放課後等デイサービス15,754 人日/月・利用者数 1,178人/月
保育所等訪問支援772 人日/月・利用者数 535人/月
居宅訪問型児童発達支援4 人日/月・利用者数 2人/月

この資料では、令和6年度は児童発達支援が2,380人日/月、令和7年度は2,666人日/月、令和8年度は2,986人日/月、というように年度ごとに増える見込みで書かれていました。見込量を年々増やして書くこと自体が、その自治体が「今後も利用が増える」と見ていることの表れです。

※「人日」とは、日中活動系サービスの供給量を表す単位です(1人が1日利用すると1人日)。この数字だけを見て、事業所が足りている・足りていないと断定することはできません。見込量はあくまで計画上の数字であり、実際の空き状況は個々の事業所に確認する必要があります。

つまり保護者がこの計画から読み取れるのは、「自分の住む市区町村に、児童発達支援がどれだけ計画されているか」「今後どのくらい増える見込みとされているか」という、地域全体の見通しです。「今日どこに空きがあるか」までは分かりません。個別の空き状況は事業所の選び方で扱っている、事業所ごとの確認が必要です。

意見を出す機会——パブリックコメントと協議会

この計画は、市区町村や都道府県が一方的に決めて終わり、というものではありません。条文に、住民や関係機関の意見を聴く手続きが置かれています。

誰の意見を条文上の扱い
住民の意見(第33条の20第8項)「必要な措置を講ずるよう努めるものとする」——努力義務。多くの自治体は、この手続きをパブリックコメントとして実施しています
協議会の意見(第33条の20第9項)総合支援法の協議会を設置している市町村は、意見を聴くよう努めなければならない
合議制の機関の意見(第33条の20第10項)障害者基本法上の合議制の機関を設置する市町村は、あらかじめ意見を聴かなければならない(義務)
都道府県の意見(第33条の20第11項)見込量など(第2項の事項)については、あらかじめ都道府県の意見を聴かなければならない(義務)

つまり「住民の意見を聴くこと」は努力義務ですが、実際にはほとんどの自治体がパブリックコメントを実施しています。高知市の資料でも、計画の素案・原案を示したあとにパブリックコメントの期間を設け、あわせて自立支援協議会(相談支援検討会・就労検討会を含む)で意見を聴く、という段取りが取られていました。

パブリックコメントで、何が言えるか
パブリックコメントは、条文が定める意見聴取の一つの実施方法です。募集期間中であれば、「見込量の数字が実感と違う」「重症心身障害児向けの受け皿が近くにない」といった意見を、書面やホームページの意見フォームから提出できます。募集の時期は自治体によって異なるため、計画の改定年度(3年に一度)が近づいたら、市区町村のホームページで確認するのが確実です。

※都道府県障害児福祉計画についても、協議会の意見聴取(努力義務、第33条の22第7項)と、障害者基本法上の合議制の機関の意見聴取(義務、第33条の22第8項)が、同じ構造で定められています。

自治体ごとに、名前も期間も違います

ここまでの条文は全国共通ですが、実際に公表される計画の「呼び名」は、自治体によって違います。たとえば高知市の例では、「高知市障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画」という、3つの計画を一冊にまとめた名前で公表されていました。

これは条文にも根拠があります。市町村障害児福祉計画は、総合支援法にもとづく市町村障害福祉計画(第33条の20第6項)や、障害者基本法にもとづく市町村障害者計画、社会福祉法にもとづく市町村地域福祉計画(同条第7項)と、一体のものとして作成することができる、あるいは調和が保たれたものでなければならないと定められているためです。一体にするか、別々の冊子にするかは、自治体の判断です。

🔴 断定できないこと
計画の名前・冊子の分け方・改定の時期(年度の途中でずれることがあります)・見込量の単位の見せ方は、市区町村によって違います。「〇〇市はこう」という他の自治体の例を、そのままお住まいの地域に当てはめないでください。お住まいの市区町村のホームページで、実物を確かめることをお勧めします。

この記事で書かないこと

「計画」という言葉が付く制度は、ほかにもあります。混同しやすいので、ここで分けておきます。

※確かめられなかったこと——「定期的に」(第33条の21・第33条の23)が具体的に何年・何回を指すかは、条文には書かれていません。また、パブリックコメントの実施方法・期間についての全国共通の基準も、この条文の中には見当たりませんでした。実施の詳細は自治体ごとの要綱によります。

今日・今週、確かめられること

  1. お住まいの市区町村のホームページで検索する——「(市区町村名) 障害児福祉計画」または「障害福祉計画」で探します。
  2. 見込量の表を見つけたら、児童発達支援・放課後等デイサービスの数字を確認する——年度ごとに増える見込みか、横ばいかを見ます。
  3. 計画がいつからいつまでの期間か(3年間が目安)を確認する——改定の時期が近ければ、次の意見募集の目安になります。
  4. 気になる点があれば、パブリックコメントの募集を待つか、窓口(障害福祉の担当課)に直接伝える——募集時期は自治体のホームページで告知されます。

計画の数字を見ても、目の前の「今すぐ通える事業所」が分かるわけではありません。個別の空き状況やサービスの選び方は、児童発達支援の事業所を、どう選ぶかをご覧ください。

出典

※上記の出典は2026年9月8日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

障害児福祉計画とは、簡単に言うと何ですか。
市区町村と都道府県が、児童福祉法にもとづいて作る計画です。児童発達支援や放課後等デイサービスなどが「この先どれだけ必要になるか」という見込量を、サービスの種類ごと・年度ごとに定めます(第33条の20第2項第2号)。
この計画は、どこで見られますか。
多くの場合、お住まいの市区町村のホームページで、PDFとして公表されています。「(市区町村名) 障害児福祉計画」または「障害福祉計画」で検索すると見つかることが多いです。都道府県障害児福祉計画は、都道府県のホームページで公表されます。
「見込量」を見ると、事業所が足りているかどうか分かりますか。
見込量は、自治体が「今後これだけ必要になる」と見積もった計画上の数字です。年度ごとに増える見込みで書かれていれば、その自治体が利用の増加を見込んでいることは読み取れます。ただし、目の前の個々の事業所に空きがあるかどうかは、この数字だけでは分かりません。事業所へ直接お問い合わせください。
個別支援計画と、どう違うのですか。
個別支援計画は、事業所が通っている子ども一人ひとりについて作る書類です。障害児福祉計画は、市区町村・都道府県が地域全体について作る計画で、対象も作る人もまったく別です。個別支援計画については個別支援計画は、どこを見ればよいのかをご覧ください。
障害児支援利用計画(セルフプラン)とも違うのですか。
違います。障害児支援利用計画・セルフプランは、受給者証を申請するときに作る、その子ども個人のための計画です。この記事の障害児福祉計画は、自治体が地域全体の提供体制について作る計画です。セルフプランか相談支援か——決めるための材料と手順で扱っています。
計画に意見を言うことはできますか。
できます。児童福祉法は、住民の意見を反映させるための措置を講ずるよう市町村に努力義務を課しており(第33条の20第8項)、多くの自治体はこれをパブリックコメントという形で実施しています。募集の時期は、計画の改定年度(3年に一度が目安)が近づいたころに、自治体のホームページで告知されます。
計画の期間は、必ず3年間ですか。
条文そのものに「3年」という期間は書かれていません。ただし、国の基本指針がこれまで3年ごとに改定されてきたため、実際に公表されている市町村・都道府県の計画も、3年間を単位にしていることがほとんどです。3年の途中でも、調査・分析・評価の結果によっては計画が変更されることがあります(第33条の21・第33条の23)。
計画の名前が、住んでいる市と近くの市で違います。おかしいのですか。
おかしくありません。市町村障害児福祉計画は、障害者計画や障害福祉計画、地域福祉計画と一体のものとして作成できると条文で定められているため(第33条の20第6項・第7項)、一冊にまとめて別の名前で公表している自治体があります。名前や冊子の分け方は市区町村によって違うため、お住まいの自治体のホームページでご確認ください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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