タブレットを使う目的と、ほかの子に何を伝えるかは、別々に整理できます。前者は、どの学習場面で何に困り、道具がどのように助けになるかという話です。後者は、本人が安心して使うために、誰から、誰へ、何を説明するかという話です。端末を使えるかどうかだけで面談を終えず、「使いたいけれど目立ちたくない」という本人の気持ちも一緒に持っていきましょう。
文部科学省の対応指針は、学校、本人、保護者が発達の段階を考慮して合意形成を図ることや、配慮を柔軟に見直すことを示しています。内閣府の教育分野の具体例にも、意思疎通のためにタブレットなどのICT機器を活用する例があります。ただし、具体例が載っていることは、どの端末でもすべての授業で同じ使い方が決まっているという意味ではありません。本人の困りごとと学校での学習を結び付けて相談するための入口と考えます。
下の図は、この記事で作った面談準備の整理例です。国が定めた申請順序ではありません。「本人の気持ち」を最初に確認し、その後も使い始めた様子に合わせて相談し直すために使ってください。
面談の前に本人へ聞くなら、「使うと楽になること」と「気になること」を分ける案があります。長い説明をその場で求める必要はありません。「黒板を写すとき」「文章を読むとき」など、本人が話しやすい場面から聞き、話した言葉を短く残す方法です。本人がまだ言葉にしにくい場合は、保護者が見た出来事を別の欄に書き、本人の考えと混ぜないようにします。
「友達に説明できるようになったら使おう」と、本人だけに説明の役目を背負わせる前に、誰が話すと安心できるかを学校と相談してください。本人が言いたいこと、先生から伝えてほしいこと、今は触れられたくないことを、面談で確かめるための材料にします。これは説明をしないことを一律に勧めるものでも、全員の前で本人が話すことを決めるものでもありません。
「タブレットが必要です」という希望と一緒に、どの作業で困るのかを伝えると、使い方を相談しやすくなります。たとえば、文字を書く量が多いと考えをまとめるところまで進みにくいのか、読み取る内容を別の方法で示したいのか、意思を伝える手段として使いたいのかを分ける案です。ここで挙げた場面は相談の整理例であり、特定のアプリの効果や、その子に適した方法を確定するものではありません。
学校には、学ぶ内容と、答えを示す方法をそれぞれ尋ねてみましょう。「この授業で確かめたい力は何ですか」「入力、手書き、口頭など、どの方法で示せますか」と聞く形です。配慮の内容は、教育の目的や本人の状況に応じて検討されます。国の例を根拠に使用範囲を一律に決めるのではなく、何を学び、何を道具で補うのかを学校と共有するための問いです。
| 持っていく材料 | 面談で確かめること |
|---|---|
| 困っている授業や作業 | 学ぶ内容と、答えを示す方法をどう分けるか |
| 本人が試したい使い方 | どの場面で、どの機能を使うか |
| 本人が心配していること | 誰が気持ちを確かめ、説明の範囲を相談するか |
| 使い始めた後の様子 | いつ、誰と使い方を見直すか |
周囲への説明を考えるときは、最初から診断名や検査結果のすべてを説明する案にせず、学習のために必要な情報を学校と整理するところから始めます。文部科学省の指針は、合理的配慮の過程でプライバシーの保護に留意することも挙げています。どの情報を誰に共有するかという相談を、端末の使用方法と切り離さずに扱うことが大切です。
学校に話す文の例は、「本人は端末を使ってみたいと言っていますが、理由を大勢の前で話すことには不安があります。授業での使い方と、周りへの説明の方法を一緒に相談したいです」です。説明の対象が同じ学級か、関係する先生かによっても、相談したいことは変わります。この文は本記事の相談例であり、国が定めた申請書式ではありません。
友達から質問されたときの返し方も、本人だけで考え続ける必要はありません。先生が学級全体へ伝える説明と、個別に聞かれたときの対応を分けて相談できます。「学ぶために使う道具は、人によって異なる」という話し方が本人に合うか、別の言い方の方がよいかを確かめてください。本人が望む説明をそのまま全員へ伝えられると約束するのではなく、学校で実施できることを対話でそろえる提案です。
文部科学省の指針は、合意した配慮を個別の教育支援計画に明記することの重要性を示しています。面談では、希望として出した話と、実施すると決まった話を区別して確認しましょう。「使えることになった」とだけ覚えるより、教科や活動、使用する機能、説明の担当などが分かる形にすると、次に相談する内容も整理できます。
記録欄の案は、「本人の希望」「学校と相談した使用場面」「周囲への説明」「まだ確認していること」「次に見直す機会」の五つです。学校独自の様式があるかを尋ね、別の記録を必ず提出しなければならないという扱いにはしません。担任以外の先生とも関わる場合には、誰が必要な情報を共有するかも学校に尋ねてください。
端末を使えたかどうかだけでなく、学習のどの部分に役立ったか、本人が使いやすいと感じたかを聞く案があります。「できた量が増えたか」だけを目標にするのではなく、本人が取り組みたい内容に参加できているか、説明の仕方で困ることが残っていないかも話題にします。道具が一度決まれば相談が終わるというものではなく、国の指針も状況に応じた見直しを示しています。
使い方について考えがそろわない場合は、まず、何に合意し、どこがまだ異なるのかを確かめます。文部科学省の通知には、担任や特別支援教育コーディネーター等との合意形成が難しい場合に、校内委員会を含む校内体制へ接続する考え方があります。相談相手を責めるためではなく、本人の教育的な必要性を複数の関係者で検討するための仕組みとして、学校の相談体制を尋ねてください。
次は架空の相談例です。ある子が「入力なら自分の考えを最後まで書けるけれど、友達に画面をのぞかれるのが嫌だ」と話したとします。保護者は、書ける量の話だけを伝えず、見られることへの心配も本人の言葉として残します。面談では、どの課題で入力を試すかと、画面の見え方や質問されたときの対応を、それぞれ相談できます。端末に役立つ面があることと、使う場面に不安があることは、同時に相談してよい内容です。
別の架空例では、本人が「今は先生だけに話してほしい」と言ったとします。この希望を、学校内の誰にも情報を共有できないという決定に置き換えず、まず本人が何を心配しているかを確かめます。授業を担当する先生には使い方の共有が必要なのか、同級生にはどんな言葉で説明するのかを分け、実施のために必要な話を学校と相談します。共有する相手や情報について、本人の希望を検討の出発点にする例です。
面談の席で初めて考えをまとめるのが難しければ、「今日は使用する授業だけを相談したい」「周りへの説明は本人ともう一度話してから相談したい」と、議題を分ける案もあります。すべてを一回で決めることを目標にするより、決まったことと持ち帰ることが分かるようにします。学校側の実施上の条件を聞いたら、本人にどんな言葉で伝えるかも合わせて相談してください。期限や試す期間は、実際の学校との話合いで確認する事項です。
家庭で準備したメモをそのまま学級へ配る必要はありません。先生との面談用の情報と、周囲へ伝える短い説明を区別する案です。本人の気持ちは、質問紙を全部埋めることより、今言えることを確かめるために聞きます。話し合った後も「前はよいと思ったけれど、今は違う」という変化を伝えられるよう、次に相談する人を確認しておきましょう。道具、授業、説明、気持ちの四つを並べると、どこを変えたいのかを伝えやすくなります。
この記事で確認した公的資料から、本人が全員の前で説明する一律の決まりは確認できません。本人が話したいこと、先生から伝えてほしいこと、触れてほしくないことを整理し、説明の範囲と担当を学校と相談してください。
事例は検討の参考です。内閣府は意思疎通にICT機器を活用する例を示していますが、個別の使い方は、本人の状況、学習の目的、学校での実施方法などを対話で整理します。事例だけで一律の使用許可を約束するものではありません。
本人が話した言葉と保護者が見た様子を分けて準備する方法があります。指針は発達の段階への考慮や意思の表明を支えることを示しています。本人の気持ちを大人が決めたことにせず、どのような方法なら意向を確かめやすいかを学校と相談してください。
指針は合意形成後も柔軟な見直しができることを共通理解とする考え方を示しています。使ってみて分かった困りごとや気持ちを、学習での様子と一緒に伝え、次の相談の機会を確認しましょう。
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