就学前だけのファイルではない
台東区のサポートファイル「つながり」は、支援や配慮が必要な方の情報を継続してまとめるファイルです。公式ページは、基本情報と、生い立ちから乳幼児期、就学準備期、小学校低学年期・高学年期、中学校期、高校期、成人期までの発達情報を案内しています。小学校入学時に一度使って終わる資料ではなく、学校や支援機関が変わるときにも、これまでの情報をつなぐために使える構成です。
いつからでも始めることができ、すべての項目を埋める必要はありません。中学生や高校生になってから知った場合も、その時点で伝えたい内容から作成できます。過去の記録が十分に残っていないことを理由に、今の困りごとを相談できないと考えないでください。現在の生活、必要な配慮、本人が望むことを整理し、手元にある学校や療育機関の資料と一緒にまとめることから始められます。
記入と提示は本人・保護者の判断で行う
公式の「表紙、目的、使い方」のPDFは、保護者や本人が支援機関に知ってほしい情報を記入し、保護者や本人の判断で提示することを明記しています。すべての支援機関に提示する必要はなく、すべての情報を提示する必要もないという説明です。記録を作ったら一括して全機関に渡す仕組みだと考えず、今回どの相手に何を伝えたいかを選ぶことができます。
高校や成人期の相談では、本人が伝えたいことと、家族が心配していることが違う場合もあります。本人に確認できる内容は、その思いを確かめながら整理してください。ファイルを見せる判断と、相手側で複写や保管をする扱いも同じではありません。複写の有無や利用目的が気になるときは、提示する相手に確認します。公式資料も重要な個人情報であり、本人や保護者が責任を持って管理するよう注意を示しています。
高校期の最初のページで生活場面を整理する
高校期の様式は、家庭での様子について、気になることや必要な支援・配慮、分かる場合は対応方法を記入する形式です。一ページ目には、身の回りのこと・生活、対人関係・集団生活、コミュニケーション、運動・外出・手先、感覚という項目があります。睡眠、片づけ、友達とのかかわり、指示の理解など、日々の場面に分けて考えることができます。
大きな一言で「学校生活が苦手」とまとめるより、どの場面で困っているのかをこの項目に沿って整理すると、相談先に伝える焦点が見えます。家庭で分かることと、学校で確認していないことを分け、分からない箇所を推測で埋める必要はありません。記入日と、その時の年齢・学年の欄もあるので、現在の情報か、以前の状態の記録かを後から確かめられるようにしておきましょう。
困るきっかけと、周囲の対応を分けて書く
高校期の二ページ目は、困ったり不快に感じるのはどんなときか、そのときどんな行動を取りやすいか、対応の仕方が分かれば何か、という順に記す欄があります。興奮したときの様子や対応も別に整理できます。見た行動だけを書いて終わらせず、前後の状況や実際に助けになった対応を一緒に残すことで、次の支援者が質問するための材料になります。
たとえば、場所が変わる直前に困ったのか、説明を聞くときに困ったのかでは、確認したい場面が異なります。これは記録の整理例で、特定の行動の原因を決めるものではありません。「分かれば対応の仕方も」とする様式なので、よい方法がまだ見つからない場合は、そのまま相談したいこととして残せます。家庭の推測と、学校や専門職から受けた説明は、誰の説明かが分かるように分けて記入しましょう。
学校の様子と、本人・保護者の思いを分ける
高校期の様式には、登校、指示理解、学習、授業参加、忘れ物、行事参加、友達関係など、学校での様子を記す欄があります。さらに三ページ目には、好きなこと・得意なこと、本人の思い、保護者の思い、自由な記録の欄があります。学校への参加の状況だけでなく、本人が続けたいことや得意なことも次の相談へ伝えられる構成です。
本人が「続けたい」と話していることと、保護者が「負担が大きそう」と感じていることは、同じ結論にせず並べて記録できます。相談では、どちらかの希望を消すのではなく、今確認したい違いとして提示しましょう。本人が話していない気持ちを代わりに確定して書く必要はありません。言葉で聞けたこと、行動として見たこと、まだ確認していないことを分けると、面談で本人の意思を確かめる余地を残せます。
成人期の様式は「自分のこと」の記録へつなぐ
成人期の様式には、自分のことについて、気になること、支援や配慮が必要なこと、分かれば対応方法を記入する説明があります。生活、対人関係、コミュニケーション、外出や感覚などの項目に加え、困っているときの様子やその対応、好きなこと・得意なこと、今後の目標を記すページがあります。高校期の資料をそのまま現在の状態として渡すよりも、今の生活に合わせて更新する際の手がかりになります。
成人期には学校を離れて生活の場や相談先が変わる場合がありますが、ファイルの作成だけで就労や福祉サービスの利用が決まるわけではありません。この様式は、本人がどんな暮らしを望み、どんな助けが必要かを相談するための記録として使います。家族が持っていた情報も、本人の現在の希望や説明と区別しながら、次の担当者へ伝えたいものを選んでいくことが大切です。
将来の暮らしプランで希望を具体的にする
成人期のPDFには、「将来の暮らしプラン」があります。学校卒業時などに希望する将来の暮らしを書くためのページで、現在の状況、得意なこと・苦手なこと、資格や免許、将来の生活などを整理できます。働くことや日中の活動と、どのように暮らしたいかが別々の欄になっているため、仕事の希望だけで生活全体を決めてしまわずに話し合うきっかけになります。
欄に選択肢があることは、その選択肢を選べば利用や実現ができるという意味ではありません。就職、福祉的就労、暮らす場所などについて、本人の希望と、まだ確認が必要な条件を分けて相談するために使います。「今は決められない」という状態も含め、分かる範囲の希望を記録し、相談で得た情報を更新していくと、前の面談から何が変わったかを確かめやすくなります。
支援機関から受け取った資料も一緒に残す
台東区の公式ページは、支援機関から受け取る情報の例を具体的に示しています。保育園の個別支援計画であるつながりシート、幼稚園・こども園の個別支援計画、こども療育室の個別支援計画、学務課の就学支援シート、区立小中学校の学校生活支援シートや個別指導計画、教育支援館のWISC検査結果などです。家庭で作る様式とは別に、これらの資料も保管して情報共有に役立てられます。
ただし、公式ページは、資料の詳細は現在通っている各機関に問い合わせること、作成対象ではない場合もあることを明記しています。すべての子にすべての資料が発行されると受け取らないでください。就学支援シートについても、保護者、在籍園、療育機関が記入し、保護者が直接学校へ提出するものという説明があります。ファイルに入れておけば自動的に学校へ届くとは考えず、それぞれの提出や受け取りの手順を確認します。
更新する節目と、使う相手を決める
使い方のPDFは、就園・就学・進級・進学・誕生日などの節目や、新しく支援機関を利用するときを更新のタイミングの例として挙げています。成長や変化に応じて更新するためのものなので、毎回全項目を一から書き直す作業にする必要はありません。新しい情報があるページを見直し、今も続けてほしい配慮と、以前とは変わった点を分けて伝えられるようにします。
相談の前には、今回の相手に見てほしいページ、添える学校等の資料、聞きたいことをまとめる方法があります。高校期や成人期の様式には、関連資料を差し込むページもあります。過去の記録を捨てて現在の資料だけにするのか、経過として残すのかは、使う目的に合わせて整理してください。古い資料を残す場合は日付を確認し、現在の状態と取り違えられないようにすることが大切です。
様式の相談先と、個別の相談先を分ける
サポートファイルの公式ページの問い合わせ先は、松が谷福祉会館こども療育室、電話03-3842-2673です。ファイルの構成や様式の使い方を確認したいときの連絡先として掲載されています。一方、学校での現在の支援、医療の説明、就労や生活に関する個別の判断は、それぞれの担当と確かめる必要があります。ファイルの窓口が、あらゆる成人期のサービス申請を一括で決めるという意味ではありません。
「つながり」は、本人の情報を次の相手へ伝えやすくする道具です。必要な項目から記録し、学校や支援機関の資料を添え、本人・保護者の判断で提示するという使い方を保ちながら、成長に合わせて更新していきます。高校から成人期への相談でも、本人の希望と現在の困りごとが読み取れることを大事にし、未確認の利用条件や制度の結論をファイルだけで決めず、担当者と一緒に確認しましょう。

